考古学的発見

ネアンデルタール人は自宅でお湯を沸かしていた?スペインの遺跡から意外な痕跡

お湯は現代人だけの贅沢ではない?

お湯を自由に使えるのは現代ならではの特権――そう思われがちだが、近年の研究によってこの常識が揺さぶられようとしている。

スペイン・カタルーニャ州のアブリック・ロマニ(Abric Romani)遺跡で、カタルーニャ人類古生態学・社会進化研究所(IPHES)の研究チームが先史時代の住居跡を調査したところ、思いがけない発見に直面したのだ。

炉と焼けた石のあいだに見つかった「穴」

古代の住居内部には、火を使った痕跡である炉(こんろ)や、熱せられた岩が数多く残されていた。研究者たちが注目したのは、それらの炉や加熱された石のあいだに存在する一つの穴だった。

専門家によれば、この穴は生活用のお湯を沸かすために使われた可能性が高いという。熱した石を水の中に投入して水温を上げる、いわゆる「石煮やり」と呼ばれる手法が想定されており、これは考古学でもよく知られた先史時代の加熱技術だ。

ネアンデルタール人の暮らしへの新たな示唆

この発見は、ネアンデルタール人がすでに「家庭」のなかで温めた水を日常的に利用していたことを示唆するものである。

アブリック・ロマニ遺跡は、数万年前のネアンデルタール人の生活痕が良好な状態で保存されていることで知られる重要な遺跡だ。これまでにも火の高度な使用や石器製作の技術が報告されてきたが、今回の発見は彼らの日常生活への理解をさらに深める貴重な手がかりとなった。

お湯の活用は調理にとどまらず、食料の加工や道具の手入れなど、さまざまな生活場面に関わる可能性がある。氷河期の厳しい環境を生き抜いたネアンデルタール人が、想像以上に洗練された生活文化を持っていたのかもしれない。