結論から言えば、ロバート・ピール(Robert Peel)は近代警察制度の創設者として広く認められています。彼は1822年から1827年までイギリスの内務大臣(ホーム・セクレタリー)を務め、警察制度に関する数々の改革を主導しました。
ロンドン警視庁の設立(1829年)
ピールの最大の功績は、1829年にロンドン警視庁(Metropolitan Police Service)を設立したことです。それまでのイギリスでは、夜警や自治体ごとの不統一な治安維持組織が犯罪対策の中心であり、急速な都市化に伴う犯罪増加への対応が課題となっていました。
ピールが創設したこの組織は、現在でも世界で最も有名な警察機関の一つとして存続しており、多くの国の警察制度のモデルとなりました。
「ボビー」という愛称の由来
当時の警官たちは、創設者であるピールの名前にちなんで「ボビー(Bobby)」と呼ばれるようになりました。この愛称は今日に至るまでイギリスの警察官を指す言葉として親しまれており、ピールの影響力の大きさを物語っています。
「ピールの原則」という警察倫理
ピールは警察活動の基本理念として、いわゆる「ピールの原則(Peelian Principles)」を提唱したともされています。その核心は以下のようなものです。
- 警察の目的は犯罪の予防であり、抑圧ではないこと
- 市民の協力と信頼なくして警察は機能しないこと
- 武力ではなく、市民からの承認によって権威を保つこと
これらの理念は、「同意による policing(policing by consent)」というイギリス警察の伝統的姿勢の基礎となり、現代のコミュニティ・ポリシングにも通じる考え方として高く評価されています。
まとめ
ロバート・ピールは、内務大臣として組織的・専門的な警察制度を初めて確立し、1829年のロンドン警視庁設立によって近代警察の礎を築きました。彼の構築した制度と理念は、200年近く経った今もなお世界各国の警察行政に影響を与え続けています。まさにピールは「近代警察の父」と呼ぶにふさわしい人物といえるでしょう。