バントゥー族が農耕民であったことを裏付ける考古学的証拠は数多く存在します。発掘調査によって明らかになった主な証拠を、以下に詳しく解説します。
1. 農具の出土
バントゥー族の集落跡からは、鍬(くわ)、斧、磨り石などの農業用具が多数発見されています。これらの道具は、土を耕し、穀物を加工するために使われていたものであり、定期的な農耕活動が行われていたことを示す最も直接的な証拠です。
2. 栽培植物の痕跡
バントゥー族の遺跡からは、モロコシ(ソルガム)、キビ、ササゲなど、栽培化された植物の種子や残骸が見つかっています。これらは野生種ではなく栽培品種であることが確認されており、人間が意図的に作物を育てていたことがわかります。
3. 灌漑設備と段々畑の跡
灌漑システムや段々畑の遺構も確認されています。これは、バントゥー族が森林地帯からサバンナまで、多様な自然環境に適応しながら作物を成功裏に栽培できたことを示しており、高度な農業技術を持っていたことの証左です。
4. 大規模な貯蔵施設
穀倉(グレナリー)などの大型貯蔵施設の存在は、バントゥー族が余剰食料を生産できていたことを示唆します。余剰生産は農耕社会に特有の特徴であり、定住生活の安定や人口増加、さらには社会構造の複雑化をもたらしました。
5. 家畜の飼育
さらに、バントゥー族は牛、山羊、羊などの家畜も飼育していました。これらの家畜は、肉だけでなく乳、皮革、羊毛といった安定した資源の供給源となり、作物栽培と組み合わさった混合経済を支えていました。
これらの複数の証拠が互いに補完し合うことで、考古学者たちはバントゥー族が狩猟採集民ではなく、確立された農耕社会を築いていたと結論づけているのです。