考古学的発見

人類史上最悪の建設プロジェクトは「パナマ運河」――約2万8000人の命を奪った壮絶な歴史

史上最も多くの命を奪った建設プロジェクトはパナマ運河

人類の歴史において、その建設過程で最も多くの人命を奪ったとされるのがパナマ運河です。1881年の着工から1914年の完成までの33年間で、推計27,500人~28,000人の労働者が亡くなったとされています。

死因の中心は熱帯病

犠牲者の死因として最も多かったのは、黄熱やマラリアといった熱帯病でした。当時は蚊がこれらの病気を媒介する仕組みが十分に解明されておらず、熱帯雨林の湿地帯は蚊の温床となり、労働者たちは次々と病に倒れました。

熱帯病以外にも、現場での事故、発破作業に伴う爆傷、劣悪な食料事情による栄養失調なども多くの犠牲を生みました。特にフェルディナン・ド・レスプス率いるフランス主導の第一期工事(1881年~1889年)では防疫体制がほぼ機能せず、膨大な死者が出た末に計画は頓挫しています。

米国による衛生管理の徹底で死亡率は低下

1904年にアメリカ合衆国が工事を引き継ぐと、軍医ウィリアム・C・ゴーガスらによって徹底的な蚊の駆除や上下水道の整備など衛生環境の改革が進められ、黄熱は事実上根絶されました。この防疫政策の成功により死亡率は大幅に低下しましたが、それでも運河開通までにはさらに多くの労働者が命を落としたといわれています。

忘れてはならない歴史的教訓

パナマ運河は大西洋と太平洋を結ぶ世紀の大工事として称えられる一方、その基盤には数万人の尊い命があります。犠牲者の大多数はカリブ海諸島出身の労働者だったとされ、技術的偉業の陰にある人的犠牲についても、今日あらためて記憶されるべき歴史といえるでしょう。