考古学がアメリカ合衆国に根付いたのは、19世紀後半のことです。当時のアメリカ考古学は、独立した学問分野ではなく、人類学の一分野として誕生し、そのルーツはネイティブ・アメリカン(先住民)文化の研究にありました。
人類学の中から生まれた考古学
アメリカにおける考古学の出発点となったのは、先住民の生活や文化、歴史を解明しようとする関心でした。ヨーロッパとは異なり、アメリカ大陸には文字記録に基づく古代史研究の伝統がなかったため、土器や石器、塚(マウンド)などの物証を通じて過去を読み解く考古学的手法が重視されるようになりました。
発掘調査の時代と専門化への道
1800年代後半から1900年代初頭にかけて、全米各地で考古学遺跡の発掘と記録作業が本格的に展開されました。この時期の調査活動を通じて、層位学に基づく発掘方法や体系的な資料記録といった専門的な考古学の実践手法が確立されていき、考古学は次第に独自の学問分野としての地位を固めていきました。
この時代を代表する考古学者たち
アメリカ考古学の草創期を支えた主要な人物として、以下の研究者たちが挙げられます。
- クラレンス・B・ムーア(Clarence B. Moore):アメリカ南東部の塚状遺跡を中心に数多くの発掘調査を行い、貴重な資料を残しました。
- アルフレッド・V・キッダー(Alfred V. Kidder):南西部プエブロ遺跡の研究で知られ、ペコス分類法を提唱するなど、アメリカ南西部考古学の体系化に大きく貢献しました。
- シルバヌス・G・モーリー(Sylvanus G. Morley):マヤ文明の研究の第一人者であり、チチェン・イッツァでの長期調査プロジェクトを主導しました。
こうした先駆者たちの努力によって、アメリカの考古学は趣味や好奇心に基づく骨董収集の域を脱し、科学的で組織的な学問分野へと発展していったのです。