ジャンヌ・ダルクの異端裁判から約600年後、フランスのルーアン市は、この裁判および1455年に行われた名誉回復裁判に特化した世界初の施設を開設しました。ルーアンは、フランス史上最も象徴的な人物の一人であるジャンヌ・ダルクの裁判が行われた土地であり、旧市場広場(プラス・デュ・ヴィユー・マルシェ)は彼女が処刑された場所でもあります。ジャンヌ・ダルク歴史館(Historial Jeanne d'Arc)は、2度目の裁判の舞台となった大司教館内に位置し、ルーアン・ノルマンディー都市圏が主導するプロジェクトとして実現しました。
見学の流れ
ジャンヌ・ダルクの生涯を目撃した人々の証言をもとに、俳優たちが演じる名誉回復裁判の様子が、大司教館の各部屋のスクリーンに投影され、来館者はその場をリアルに追体験できます。
来館者は地下室から地下室へ、かつての執務室や屋根裏部屋へと移動しながら見学を進めます。ジャンヌの名誉回復を果たしたジャン・ジュヴェナルの案内の声とともに、ドンレミ、シノン、オルレアン、ポワティエでのジャンヌ・ダルクの壮大な物語をたどり、再びルーアンへ戻ると、そこで裁判が再現されます。最後の部屋では、裁判の結末と、その後の火刑の場面を目の当たりにすることになります。
この約45分間のデジタル見学の後は、大司教館内の3つの部屋からなる「ミソテーク(神話アーカイブ)」へ向かうことができます。ここでは、歴史上の実在の人物としてのジャンヌ・ダルク、彼女をめぐる数々の伝説、そして世紀を超えて繰り返されてきた政治的な利用の変遷について学ぶことができます。ゆかりの品々を実際に見られるのも大きな魅力です。
演出(シナグラフィー)の魅力
斬新で現代的な演出によって、来館者はまるで裁判の時代へタイムスリップしたかのような体験を味わえます。見学の前半では映像投影が次々と展開され、600年前の世界へと没入させてくれます。円柱はジャンヌ・ダルクが神のお告げを受けた木へと姿を変え、暖炉は巨大なスクリーンになり、光るパネルが次々と情報を伝えていきます。
ただし、絶え間なく続く映像や投影の数が非常に多いため、どこを見ればよいのか分からず、情報を見逃してしまったような感覚を覚えることもあります。また、座って休憩できる場所が少なく、部屋から部屋への移動には多くの階段があるため(小さなエレベーターは1基のみ)、ある程度の体力が必要ですが、この点は事前には案内されていません。
見学時の注意点
見学は15分ごとにスタートします。手狭な部屋では一度に25名以上入ることができないためです。部屋の移動は前のグループの進行に合わせて行われ、各部屋の音響の関係上、隣の部屋の音声が聞こえてしまうこともあります。
とはいえ、こうした小さな不便さが、名誉回復裁判を生き生きと体感させる迫力ある演出の価値を損なうことはありません。来館者はその世界観に心を動かされることでしょう。
歴史館とルーアンの街
ジャンヌ・ダルクはルーアンを象徴する存在です。彼女は19歳で旧市場広場にて火刑に処せられました(現地には記念碑が設置されています)。2度の裁判は歴史館が建つ大司教館で行われ、彼女はフィリップ2世(フィリップ・オーギュスト)の城に幽閉されていました。その天守塔(ドンジョン)は今も残されており、現在ではルーアン城の歴史と、その歴史を築いた重要人物たちを紹介する展示場として公開されています。
ルーアンは、その豊かな歴史とともに、そして今では数々の見どころを通じて、ジャンヌ・ダルクの生涯を詳しく知りたいすべての人にとって欠かせない場所となっています!
ジャンヌ・ダルク歴史館(Historial Jeanne d'Arc):ルーアン、ロマン通り7番地(7 rue Romain, Rouen)