『骨の迷路(The Maze of Bones)』は、アメリカの大手出版社スクラスティックが展開する人気児童向け冒険ミステリーシリーズ『39の手がかり(The 39 Clues)』の第1作です。執筆を担当したのは、『ペルセウス・ジャクソン』シリーズで世界的な人気を誇るリック・リオーダン。2008年9月に刊行され、全シリーズの幕開けを飾る重要な一冊となっています。
あらすじ:遺言状から始まる世界をかけた宝探し
物語は、ケイヒル家の当主であり大富豪だったグレース・ケイヒルの死から始まります。彼女の遺言状には、集まった親族たちに驚きの選択が突きつけられました。「100万ドルの相続金を受け取ってそのまま帰る」か、「たった一枚の手がかりを受け取り、世界を股にかける危険なレースに挑む」か――。
14歳のエイミーと11歳の弟ダンは、あえて後者を選択します。こうして姉弟は、同じ血を引く他の分家たちと競いながら、歴史の裏側で世界を操ってきたケイヒル家の秘密と、莫大な富をもたらすという「39の手がかり」を追う壮大な冒険に飛び込んでいくのです。
第一の手がかりが導く先はパリ
最初の手がかりは、姉弟をフランス・パリへと導きます。アメリカ建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリンがパリで残した足跡をたどり、図書館や教会、そして人骨で埋め尽くされた地下墓地(カタコンベ)を駆け巡りながら、暗号をひとつずつ解き明かしていきます。本作のタイトル「骨の迷路」は、このカタコンベにちなんだものです。
探索の末、姉弟は小さな容器に隠された謎のメッセージを発見。これが最初の「手がかり」であり、次なる目的地へと続く鍵となります。
主な登場人物
エイミー・ケイヒル&ダン・ケイヒル
本作の主人公である姉弟。内気だが知識豊富な姉・エイミーと、いたずら好きで行動力抜群の弟・ダンは、性格こそ正反対ですが、危機に直面するたびに互いを支え合う強い絆で結ばれています。
ネル・ゴメス
姉弟の旅に同行する大学生のオーペア(住み込みのお世話係)。大胆な運転と機転の良さで、何度も姉弟をピンチから救う頼もしい存在です。
個性豊かなライバルたち
ケイヒル家は「ルシアン」「エカテリーナ」「ヤヌス」「トーマス」の四つの分家に分かれており、それぞれが手がかりを狙っています。冷酷なカブラ兄妹、怪力のホルト一家、元スパイのイリーナ・スパスキー、天才スター少年のジョナ・ウィザード、韓国系の大実業家アリステア・オーなど、個性的なライバルたちが次々と立ちはだかります。
宝探しのその先にある「家族の秘密」
本作が単なる宝探し物語にとどまらないのが最大の魅力です。旅を進めるうちに、エイミーとダンは両親が亡くなった火災の真相や、ケイヒル家に数百年前から潜む陰謀の存在に触れていきます。さらに物語の終盤では、姉弟の行く先々で目撃される謎の「黒服の男」が浮かび上がり、続きが気になってしかたなくなる絶妙な引きを見せてくれます。
評価と商業的な成功
『骨の迷路』は、テンポの良いアクション、緊迫感あふれるサスペンス、そして読者自身が謎解きに参加できる仕掛けが批評家から高く評価されました。発売直後にニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストで第1位に初登場するなど、商業的にも大きな成功を収めています。
また本作は、専用のコレクターズカードやウェブ上の謎解きゲームと連動したインタラクティブ企画の一部でもあり、読書とゲームを掛け合わせた新しい試みとして大きな話題を集めました。以降、複数の作家がリレー形式で執筆する本シリーズは、世界的なベストセラーシリーズへと成長していきます。