エジプト・ギザの大スフィンクス。全長約73メートル、高さ約20メートルにも及ぶこの巨大な像が、一体何人の人力で造られたのか——これは古代史における最も興味深い謎の一つです。
正確な人数は不明だが「数千人規模」と推定される
残念ながら、スフィンクスの建設に関わった正確な人数を記した当時の記録は現存していません。しかし、考古学的研究や建設工法の分析に基づくと、数千人規模の熟練労働者によって、数十年にわたる歳月をかけて造られたと考えられています。
奴隷ではなく、組織的な「国家プロジェクト」だった
かつてはスフィンクスやピラミッドが奴隷によって建てられたという説が広く信じられていました。しかし、近年の発掘調査により、この常識は大きく覆されつつあります。
ギザ台地周辺から発見された労働者の村の遺跡では、大規模なパン焼き窯や醸造所、さらには医療施設の痕跡まで見つかっています。労働者たちは肉やビールなどの十分な食事が支給され、一定の報酬を受け取っていたことが分かっています。
関わったとされる職種
スフィンクスの建設には、多様な専門職の人々が携わったと考えられています。
- 石切り職人(採石夫):石灰岩の岩盤を削り出す作業担当
- 彫刻家・石工:ライオンの体と王の顔を精密に彫り上げる職人
- 道具職人:銅製の鑿(のみ)やハンマーなど工具の製作・修理担当
- 運搬・補助労働者:石材や資材の運搬、現場の整備担当
- 監督官・技術者:全体の工程管理を行う指導者層
一つの岩から彫り出された驚異の建造物
スフィンクスの特筆すべき点は、ピラミッドのように石積みで造られたのではなく、石灰岩の巨大な岩盤を直接彫刻して造られたことです。このため、大量の石材を運搬する必要こそなかったものの、彫刻の精度と規模の点で極めて高度な技術が要求されました。
建設時期は紀元前2500年頃、第4王朝のカフラー王の治世とする説が有力です。王の顔を模しているとも言われるスフィンクスは、単なる装飾ではなく、王権の象徴として重要な宗教的役割を担っていました。
まとめ
スフィンクスを建設した人数について確定的な答えはありませんが、数千人の熟練労働者が数十年の期間をかけて協力し合い、この世界遺産を完成させたと考えられています。彼らは強制労働に従事した奴隷ではなく、国家によって支えられた誇り高き職人たちだったのです。4500年以上の時を超えて佇むスフィンクスは、古代エジプト人の卓越した技術と組織力の証といえるでしょう。