歴史上の人物

隠者ペトルス(1050年頃~1115年):第一回十字軍を導いた民衆の説教師

隠者ペトルス(1050年頃~1115年):第一回十字軍を導いた民衆の説教師

隠者ペトルスとは

隠者ペトルス(Peter the Hermit、1050年頃~1115年)は、フランス北部アミアン近郊の出身とされる説教師です。第一回十字軍において、民衆を巻き込んだ宗教運動の中心的な存在となった人物として知られています。

「神からの手紙」とエルサレム巡礼

1095年、彼はエルサレムへの巡礼に出発したと伝えられています。そして帰還の際には、東方にいるキリスト教徒の同胞を救援せよと命じる「神からの手紙」を携えて戻ったと言われます。この伝承こそが、彼を十字軍運動の象徴的存在へと押し上げるきっかけとなりました。

第一回十字軍の主要な説教者

ペトルスは類まれな雄弁家であり、第一回十字軍における最重要の説教者の一人でした。1096年には、貴族や騎士ではなく一般民衆からなる部隊――いわゆる「民衆十字軍」――を率いて聖地へ出発します。道中で出会う群衆に対して熱心に説教を繰り広げながら進軍し、多くの人々の信仰心を煽りました。

民衆十字軍の敗北とエルサレム包囲戦

しかしながら、武装も訓練も不十分な民衆十字軍は挫折に終わります。その後、ペトルスはゴドフロワ・ド・ブイヨン率いる本隊に合流し、エルサレム包囲戦に参加しました。包囲戦の際には、城壁の周囲を巡る宗教的行列(巡行)を組織するなど、兵士たちの士気を高める役割を担ったと伝えられています。

十字軍後の晩年

十字軍の遠征が終わると、ペトルスは聖遺物を携えて西方へ帰還しました。民衆の熱狂を呼び起こした説教師として、彼の名は十字軍の歴史に深く刻まれています。