ヴァージル(ウェルギリウス)は、古代ローマで最も名高いラテン語詩人の一人です。代表作『アエネーイス』は後世のヨーロッパ文学に計り知れない影響を与え、彼の名を不朽のものとしました。

生涯と学問
ヴァージルは紀元前70年10月15日、北イタリアに生まれました。クレモナ、ミラノ、ローマ、ナポリといった各都市を渡り歩きながら、ラテン語、ギリシア語、修辞学、哲学を学び、とりわけナポリで長い時間を過ごしたと伝えられています。
マエケナスという後援者
当時のローマで絶大な権力を誇っていたマエケナスが経済的な支援者となったことで、ヴァージルは生計の心配なく創作活動に没頭できる環境を手に入れました。この恵まれた支えが、彼の豊かな作品群を生み出す土壌となりました。
三大作品
『牧歌』(紀元前37年)
田園を舞台とした詩集です。牧歌的な風景の描写にとどまらず、祖国イタリアへの深い思いが込められています。
『農事詩』(紀元前36年~29年)
イタリアの農民の暮らしへの賛歌であり、大地での労働の尊さを称えた作品です。
『アエネーイス』
全12篇からなる叙事詩で、11年の歳月をかけて執筆されました。トロイアの英雄アイネイアースがたどった数々の冒険と、ローマ建国に至る壮大な物語が描かれています。
晩年と死後の出版
完成度をさらに高めるため、ヴァージルはイタリアとギリシア各地を旅しながら原稿の推敲を続けました。アテネで皇帝アウグストゥスと会見し、ともにイタリアへ戻る途上で病に倒れます。死の床において、彼は「この作品は未完成だ」という理由から『アエネーイス』を焼却するよう遺言しました。
しかしアウグストゥスはこれに反し、『アエネーイス』をローマと皇帝自身の栄光を称える国家的作品と位置づけて出版を命じました。こうして未完のまま残された大作は守り抜かれ、今日まで世界中で読み継がれています。
基本情報
生誕:紀元前70年10月15日
死去:紀元前19年9月21日
職業:詩人