カルロ・ジェズアルドはバロックの作曲家か?
結論から言えば、カルロ・ジェズアルド(Carlo Gesualdo)は一般的に「バロックの作曲家」としては分類されません。彼の活動期は16世紀後半から17世紀初頭にかけてであり、音楽史的にはルネサンス期の作曲家として位置づけられています。
ジェズアルドの生きた時代
ジェズアルド(1566年頃〜1613年)は、イタリア・ナポリの貴族出身の作曲家です。彼が活躍した当時のヨーロッパ音楽は、まだルネサンス多声音楽の伝統の中にありました。今日特に有名な彼のマドリガーレ(牧歌)は、まさにこの時代を代表する声楽ジャンルです。
ルネサンスとバロックの境界線上の存在
ただし、彼の没年である1613年は、モンテヴェルディのオペラ《オルフェオ》(1607年)など、いわゆる初期バロックの代表作が登場した時期とほぼ重なります。このため、ジェズアルドは「ルネサンスの作曲家」でありながら、バロックへの時代の移行期に生きた人物とも言えるのです。
極めて進んだ半音階技法や大胆な不協和音の扱いで知られる彼の音楽スタイルは、同時代人の一歩先を行くものであり、単純な時代区分では捉えきれない特異な個性を持っています。「バロックの作曲家」という誤解が生まれる背景には、こうした革新的な作風があるのかもしれません。