ウィスコンシン州ミルウォーキーに本社を置いていた重機メーカー、アリス・チャルマーズ・マニュファクチュアリング(Allis-Chalmers Manufacturing)は、第二次世界大戦中に原子爆弾の開発を担った極秘プロジェクト「マンハッタン計画」の元請負人(プライムコントラクター)ではありません。この点は、しばしば誤解されることがあります。
マンハッタン計画の元請負人は誰だったのか
マンハッタン計画は、アメリカ陸軍工兵隊のレスリー・グローブス准将の指揮のもとで進められた超大型国家プロジェクトであり、研究開発から施設の建設・運営までを複数の巨大企業が分担して担当しました。
主要な元請負人としては、ワシントン州ハンフォード・サイト(プルトニウム生産)を担当したデュポン(E.I. du Pont de Nemours)や、テネシー州オークリッジの大規模施設建設を手がけたストーン&ウェブスターなどが知られています。アリス・チャルマーズがこれらの主契約者の座に就いたという事実はありません。
アリス・チャルマーズとはどんな会社だったのか
アリス・チャルマーズは、20世紀前半のアメリカを代表する機械メーカーの一つです。農業用トラクターをはじめ、発電用タービン、鉱山機械、各種産業用設備など、幅広い分野で高い技術力を持っていました。
第二次世界大戦中は、軍需生産に大きく貢献した企業でもあり、戦争遂行を支える重要な役割を果たしました。こうした戦時中の活躍が、後に「原爆開発にも深く関わったのではないか」という憶測につながった可能性があります。
マンハッタン計画との関係について
アリス・チャルマーズが戦時中、何らかの形で軍事関連の機器や電気設備の製造に関与した可能性は否定できませんが、同社がマンハッタン計画全体を主導する元請負人として契約を結んだわけではありません。あくまで計画の中核を担ったのは、前述のデュポンやストーン&ウェブスターといった別の大手企業です。
まとめ
「ミルウォーキーのアリス・チャルマーズが、第二次世界大戦中のマンハッタン計画の元請負人だった」というのは誤りです。同社は優れた機械メーカーとして戦時経済に貢献しましたが、原子爆弾開発計画の主契約者ではありませんでした。歴史的事実を正しく理解するうえで、この区別は重要です。