歴史クイズ

リヨンのエイレナイオスとグノーシス主義:演習問題と解説付きクイズ

本演習では、2世紀のキリスト教神学者である聖エイレナイオス、通称リヨンのエイレナイオスと、彼が激しく批判したグノーシス主義、とりわけヴァレンティヌス派について学びます。全4問の選択式問題に続き、それぞれの解答と丁寧な解説を掲載しています。

問題1

聖エイレナイオス、すなわちリヨンのエイレナイオス(西暦130年~202年)は、グノーシス主義の諸教義を記述し反駁した、初期キリスト教の最重要著作の一つを著しました。この著作の名は『異端反駁』です。エイレナイオスがこの著作の中で反駁したグノーシス主義の宗派は、次のうちどれでしょうか。

a) フリーメイソンリー
b) ピタゴラス主義
c) ヴァレンティヌス派
d) ゾロアスター教
e) カバラ

問題2

エイレナイオスが批判したヴァレンティヌスのグノーシスの教義テーゼの一つは、次のうちどれでしょうか。

a) キリスト教の神は、父・子・霊という三つの位格から構成されるという考え。
b) イエス・キリストは、ブッダやゾロアスターと同様に、単なる精神的な師にすぎないという考え。
c) 当時の実情には反するものの、キリスト教徒はギリシア哲学に接近すべきだという考え。
d) サタンこそが人類の真の贖い主であるという考え。
e) 神的な存在者であるアイオーンたちが住む、満ち足りた場所「プレーローマ」が存在するという考え。

問題3

リヨンのエイレナイオスによれば、ヴァレンティヌス派グノーシス主義の問題点の一つは、その概念体系がキリスト教の重要な柱の一つを破壊していたことにありました。それは何でしょうか。

a) 三位一体
b) マニ教的な性格
c) 復讐の神という姿
d) イエスの母マリアの神性
e) 天使の神性

問題4

ヴァレンティヌス派にとって、知識(グノーシス)は完全なるものへと到達するための道とみなされていました。したがって、エイレナイオスの正統的視点から見れば、グノーシスの実践者が持っていたのは次のうちのどれでしょうか。

a) 神を直接的な仕方で知りうるという特権的な能力。
b) 自らを知識によって「啓蒙された」存在だと判断することによる、傲慢の罪。
c) 楽園に住まうための秘密。
d) 平均的なキリスト教徒よりも優れた知性と美徳。
e) 救済される可能性の高さ。

解答と解説

問題1の解答

正解:C(ヴァレンティヌス派)

聖エイレナイオスは『異端反駁』を著し、ヴァレンティヌス派の教義に対抗しました。ヴァレンティヌス派とは、福音書の教えに新プラトン主義的なグノーシス思想を融合させた2世紀の知識人、ヴァレンティヌス(西暦100年~160年)の教えに従うグノーシス主義の宗派です。

問題2の解答

正解:E(プレーローマとアイオーン)

ヴァレンティヌスは、善なる神的な存在と悪しき存在を対比させる伝統的な秘教的智慧、すなわちグノーシスに着想を得て、「プレーローマ」と「アイオーン」という概念を打ち立てました。彼の体系において、キリストは善なるアイオーンによる導きを受けて遣わされ、悪しきアイオーンがもたらす苦しみから人間を解放する役割を担っていたのです。

問題3の解答

正解:A(三位一体)

ヴァレンティヌス派は複数の神の存在を想定し、それぞれに肯定的あるいは否定的な性格を帰属させていました。これに対して三位一体の教義は、父・子・霊という三つの位格が一つの神として永遠に共存するという考えを説くものであり、両者は根本的に相容れないものでした。

問題4の解答

正解:B(傲慢の罪)

エイレナイオスの見解では、ヴァレンティヌス派をはじめとするグノーシス主義者たちは、グノーシスを通じて万物と宇宙のあらゆる神秘を理解できると自負する、いわば知的な傲慢、すなわち「叡智の誇り」という罪を犯していたのです。