電報(電信)とは、電線を通じて電気信号をやり取りすることで、遠く離れた場所へメッセージを送受信する通信手段です。ここでは、古典的な電信機の仕組みを、送信と受信の両面からわかりやすく解説します。
電報の送信の仕組み
1. 電鍵(でんけん)を操作する
送信者は、レバーまたはボタン式の「電鍵」と呼ばれる装置を使います。電鍵を押すことで電気回路が閉じ、信号を送り出す準備が整います。
2. 電気回路が完成する
電鍵を押すと、電池・電鍵・電磁石を含む回路がつながります。これにより電磁石が磁場を発生させます。
3. 受信コイルに電流が誘起される
電磁石の磁場の変化によって、近くに設置された「受信コイル」に誘導電流が生じます。
4. 電信線を通じて信号が伝わる
受信コイルに発生した電流は、電気信号として電信線を伝い、相手側の受信局へと送られていきます。
電報の受信の仕組み
1. 受信機が信号を検知する
受信局では、届いた電気信号がもう一つの電磁石によって検出されます。
2. アーマチュアが動いて音が鳴る
電磁石が作り出す磁場の力で、受信機内部の可動片(アーマチュア)が動き、「カチッ」「カチカチッ」というクリック音が生まれます。
3. 音をモールス符号として解釈する
このクリック音の長短のパターンは、「トン」(短点)と「ツー」(長点)の組み合わせ、すなわちモールス符号として解釈されます。
4. 符号を文字に書き起こす
受信側のオペレーターは、聞こえてくる音のパターンをリアルタイムで書き取ります。
5. モールス符号表で解読する
記録された符号の列は、モールス符号表をもとに対応するアルファベットや数字へと変換され、元のメッセージが復元されます。
電報が果たした歴史的役割
この「電線を通して電気信号を送る」というシンプルな原理により、それまで不可能だった長距離即時通信が実現しました。19世紀、サミュエル・モールスらによる電信システムの実用化以降、訓練を受けた電信オペレーターたちが世界中でメッセージの中継を担い、ニュース伝達やビジネス、行政などあらゆる分野で情報共有を飛躍的に加速させました。
現代における電報の使い方
現在の日本で「電報」と呼ばれているのは、主に結婚式や入学式などのお祝いの場で送る祝電、お葬式や法要で贈る弔電のことです。申し込みは、電話のほか、NTT東日本・西日本の「D-MAIL」などのWebサイトや、各種民間の電報サービス、さらにはコンビニエンスストアのマルチコピー機からも可能です。文面を選んで宛先を指定すれば、指定日時に相手へ配達されるため、手軽に心のこもったメッセージを贈ることができます。