1911年に鋳造されたアメリカ合衆国の5セント白銅貨(ニッケル)の裏面には、印象的な巨大な文字「V」が刻まれています。「何かの記念を表す記号なのだろうか?」と不思議に思う人も多いようですが、答えはとてもシンプルです。この「V」はローマ数字の「5」であり、この硬貨の額面価値が5セントであることを示すマークなのです。
「V」= ローマ数字の5
ローマ数字では「V」が5を表します。19世紀末から20世紀初頭にかけてのアメリカ造幣局では、硬貨の額面をアラビア数字ではなくローマ数字で表現する伝統的なデザインが好まれていました。そのため、5セント硬貨の裏面には「FIVE CENTS(5セント)」という文字とともに、大きな「V」があしらわれています。
リバティヘッド・ニッケル(通称:Vニッケル)とは
1911年版を含むこのデザインは、正式名称を「リバティヘッド・ニッケル」といい、当時の造幣局主任彫刻官だったチャールズ・E・バーバーによって手がけられました。デザイナーの名前にちなんだ「バーバー・ニッケル」、そして裏面の「V」に由来する「Vニッケル」という愛称でも広く親しまれてきました。
この硬貨は1883年から1913年までの約30年間にわたって鋳造されました。表面には左向きの自由の女神(リバティ)の肖像、裏面には小麦と綿花の花輪に囲まれた「V」が描かれており、クラシックで美しい意匠が特徴です。
リンカーン生誕100周年との混同に注意
「Vはエイブラハム・リンカーンの生誕100周年を記念するものだ」という説明を見かけることがありますが、これは誤解です。1809年生まれのリンカーンの生誕100周年にあたる1909年に記念として発行されたのは、リンカーン1セント硬貨(ホイート・セント)の方であり、ニッケルの「V」とは直接的な関係がありません。両者の時期が近かったために、しばしば混同されることがあるのです。
まとめ
1911年ニッケルに刻まれた「V」は、特定の出来事の記念ではなく、単純にローマ数字の「5」、すなわち額面5セントを表す記号です。現在では流通していませんが、コイン収集家の間で根強い人気があり、保存状態の良いものはコレクターズアイテムとして高い評価を受けることもあります。