アメリカ史において、解放された元奴隷たちの職業を農業や家事労働などに限定するよう制約した一連の法制は、「ブラックコード(Black Codes、黒人法)」と呼ばれています。
ブラックコードとは何か
ブラックコードとは、南北戦争終結直後の1865年から1866年にかけて、アメリカ南部諸州が相次いで制定した州法の総称です。これらの法律は、奴隷制度の廃止後に自由の身となったアフリカ系アメリカ人(解放奴隷)の行動や労働を厳しく規制することを目的としていました。
どのような制限が課されたのか
ブラックコードの主な内容には、以下のようなものがありました。
- 解放奴隷に対し、白人の雇用主との労働契約の締結を義務づけた
- 契約を履行しない者を「浮浪者」とみなし、逮捕や強制労働の対象とした
- 職業選択の自由を制限し、農業や家事使用人などの低賃金労働へと固定した
- 移動の自由や投票権など、市民としての基本的な権利を大きく制約した
歴史的な意義と影響
ブラックコードは、形式的には奴隷制が廃止されても、実質的にはアフリカ系アメリカ人を従属的な立場に留め置こうとするものであり、「奴隷制の復活」とも評されました。こうした状況を受けて連邦議会は1866年に公民権法を成立させ、さらに1868年の憲法修正第14条(平等保護条項)の批准へとつながっていきました。
このように、元奴隷を農業や家事労働に縛り付けようとした措置こそがブラックコードであり、アメリカにおける公民権闘争の歴史を語るうえで欠かせない重要な法制です。