聖書の時代のユダヤ人にとって、現代のような正確な時計は存在しませんでした。そのため、聖書には今日私たちが使うような「時間の計算方法」に関する詳細な記述はほとんど見られません。しかし、聖書中の表現や当時の習慣から、ユダヤ人独自の時間感覚を知ることができます。
昼の時間は「12等分」されていた
新約聖書には「第三時(さんていじ)」「第十一時」といった表現が登場します。これは、日の出から日の入りまでの昼の時間を12等分したものです。つまり、季節によって1時間の長さが変動するという、現代とはまったく異なる仕組みでした。夏のように昼が長い時期には1時間も長くなり、冬には短くなります。
夜は「更(ふけ)」で区分された
夜の時間については、「夜半」「鶏鳴」「明け方」といった区分、いわゆる「夜の更(ばん)」が用いられました。旧約聖書の時代には夜を3つの更に分けていましたが、ローマの影響を受けた新約聖書の時代には4つの更に分けられるようになりました。
1日の始まりは「日没」
ユダヤ人の暦では、1日は日没から始まり、翌日の日没までを1日として数えました。このため、創世記には「夕べがあり、朝があった」という表現が繰り返し登場します。安息日も日没から始まるなど、この時間感覚はユダヤ人の生活や信仰に深く根付いていました。
このように、聖書に現代的な意味での時計や時間計算の詳細な説明はないものの、当時の人々が太陽の動きを基準に、自然のリズムとともに時間を捉えていたことがわかります。