クエリXIV:芸術・科学・一般文化の現在の状態
トーマス・ジェファーソンの代表作『バージニア州に関する覚え書き』(Notes on the State of Virginia)の第14問(Query XIV)は、「この国における芸術、科学、および一般文化の現在の状態はどうか」という問いに答えた章です。ここでは、そこから抜粋されたジェファーソンの記述をわかりやすく解説します。
美術の振興はまだ道半ば——しかし未来は明るい
ジェファーソンはまず、美術(ファインアート)の育成は依然として自国の土地に根付いていないと率直に認めています。しかしその一方で、芸術の発展は国家の将来の富と人口の増加に依存するため、いずれアメリカにおいても大切にされるようになるだろうという楽観的な見通しを示しています。
当時のアメリカの社会状況や人々の暮らし向きでは、優雅な芸術の高度な発展を追求することは困難でした。そのため、建国初期の関心は絵画や彫刻といった「美」よりも、機械芸術(実用的な技術や工業)の奨励へと強く向かっていました。これは、開拓期のアメリカが実利と生産性を最優先していたことの表れといえるでしょう。
両国間の嫉妬と猜疑心の背景
抜粋の後半で、ジェファーソンは二つの国(アメリカとイギリス)の間に、過去から現在まで続く強い嫉妬や猜疑心が存在することに触れています。彼はこの対立の原因を、どちらか一方の側に根付いた悪意ある性質にあるのではなく、それぞれの時代の特定の状況が引き金となって生まれ、助長されたものだと冷静に分析しています。
さらに、こうして一度芽生えた感情は、その後の相互の偏見によって両国の間で今なお相当な程度維持されていると指摘しました。歴史的な出来事がもたらしたわだかまりが、単なる感情論を超えて国家関係に影を落としていたことを示す、示唆に富む一節です。