「歴史の研究」と「歴史の定義」——この二つは似ているようで、実はまったく別のものです。歴史の研究とは、過去を学術的に探究する学問分野のことを指します。一方、歴史の定義とは、「歴史」という言葉そのものが持つ意味のことです。
歴史の研究とは何か
歴史の研究(歴史学)は、社会科学の一つとして位置づけられています。過去を調べるために、さまざまな分野の手法が駆使されます。具体的には、以下のような学問分野と連携しながら研究が進められます。
- 考古学
- 人類学
- 経済学
- 地理学
- 言語学
- 哲学
- 政治学
- 心理学
- 社会学
歴史学者たちはこれらの方法を組み合わせることで、失われた過去を復元し、過去がどのように現在を形作ってきたのかを理解しようとします。さらに、過去から得られる知見をもとに、未来がどのように変化していくかを予測する手がかりにもしています。
歴史の定義とは何か
一方、「歴史」の定義はそれよりも複雑です。「歴史」という一つの言葉に、実は複数の意味が含まれています。代表的な定義を見ていきましょう。
1. 過去そのもの
歴史とは、過去に起こったすべてのできごとのことを指します。人類の歩みだけでなく、自然や地球の変遷まで含めて「歴史」と呼ぶこともあります。
2. 過去の研究
歴史とは、過去を探究する学問分野、すなわち歴史学そのものを指すこともあります。この場合、「歴史」は研究活動やその成果を意味します。
3. 過去についての物語
歴史とは、特定の視点から語られる過去の物語でもあります。同じ出来事でも、誰が・どの立場から語るかによって、まったく異なる歴史像が描かれることがあります。
4. 過去の記憶
歴史とは、集団や社会の人々によって共有される集合的記憶でもあります。国民や地域コミュニティが大切にしてきた記憶や伝承も、広い意味での歴史といえるでしょう。
研究と定義の関係性
このように、歴史の研究と歴史の定義は密接に関わり合っていますが、決して同じものではありません。歴史の研究は、多様な手法を用いて過去を探究する学問的な営みであり、歴史の定義は、「歴史」という言葉が持つ意味そのものです。
両者の違いを意識することで、歴史というものへの理解がより深まり、歴史書や歴史教育の内容を批判的に読み解く力も養われるでしょう。