ユダヤ人ゲットー警察(オルヌングスディーンスト)とは?
オルヌングスディーンスト(OD、直訳すると「秩序勤務隊」)は、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによるポーランド占領下に置かれたウッチ(ウジ)・ゲットーで活動した、ユダヤ人による協力組織です。ゲットー住民の中から志願者によって構成され、ドイツ当局の指示のもとでゲットー内部の治安維持を担っていました。
設立の背景
1940年、ナチス・ドイツはウッチ市にユダヤ人隔離地区(ゲットー)を設置しました。ゲットーの日常的な運営はユダヤ人評議会(ユーデンラート)に委ねられましたが、その下部組織として治安維持を目的にオルヌングスディーンストが編成されました。隊員は制服を着用し、外見上は通常の警察のように機能していましたが、その権限は完全にドイツ当局の支配下に置かれたものでした。
主な任務
オルヌングスディーンストに課された任務は多岐にわたりました。主なものは以下の通りです。
- ゲットー内における住民の秩序維持
- ナチス当局が発した命令や規則の執行
- 強制送行(デポルテーション)を逃れて潜伏していた住民の捜索と拘束
- 拘束した者を当局側へ引き渡すこと
特に強制送行が本格化した時期には、潜伏者の摘発と引き渡しが彼らの重要な職務の一つとなり、この点が戦後の歴史評価において大きな論争の対象となりました。
歴史的評価と複雑な遺産
ユダヤ人ゲットー警察のような協力組織は、歴史学上および倫理的に極めて複雑な問題として扱われています。当時の極限状況の中で、多くの隊員自身も家族とともにゲットー内で暮らしており、協力は生存のための苦渋の選択であった場合もあれば、特権的地位や配給の確保といった動機によるものでした。しかし最終的には、隊員の多くも強制送行や絶滅収容所への移送の犠牲となりました。ウッチ・ゲットーは1944年に解体され、残された住民はアウシュヴィッツ=ビルケナウなどの収容所へ移送されています。
今日、オルヌングスディーンストの歴史は、ホロコーストという極限状況下で人々が直面した困難な選択を考えるうえで、重要な研究対象となっています。