歴史物語

ロバート・S・マクナマラが提唱した「相互確証破壊(MAD)」戦略とは?

相互確証破壊(MAD)とは

「相互確証破壊(Mutual Assured Destruction:MAD)」は、ケネディ政権およびジョンソン政権で国防長官を務めたロバート・S・マクナマラによって発展させられた軍事戦略です。その核心は、圧倒的な報復能力を担保することで、そもそも攻撃を起こさせないという「抑止」の思想にあります。

基本理念:報復の確実性による抑止

この戦略の鍵となる考え方は、アメリカ合衆国とその敵対国の双方が核兵器を保有しており、万一核戦争が発生すれば互いに壊滅的な被害を受けることが確実である、という認識に基づいています。すなわち、いずれの国も自国の破滅を恐れるあまり、先制的な核攻撃を仕掛けることはないだろう、という論理です。

戦略的安定性の維持という目的

MADの目的は、「信頼できる抑止力」という概念を通じて戦略的安定性を維持し、全面核戦争を防止することにありました。相手国が核攻撃を思いとどまるほどの確実な報復能力を示すことで、核紛争の勃発そのものを未然に防ごうとしたのです。