歴史物語

世界初の時計は何だったのか?「ニュルンベルクの卵」と懐中時計の歴史

世界初の時計「懐中時計」の誕生

人類が初めて身につけて使う時計を手にしたのは、16世紀のことです。当時登場したのが、いわゆる懐中時計(ポケットウォッチ)の原型となる時計でした。

初期の懐中時計は、鎖やリボンを使って首から下げて身につけるスタイルが一般的で、素材には金属や木材が用いられていました。現在のような小型で精巧な時計とは異なり、まだまだ大型で重厚な作りだったといわれています。

「ニュルンベルクの卵」と呼ばれた理由

最も古い時期の懐中時計は、ドイツで製造されました。なかでも有名なのが、製造地であるドイツ南部の都市ニュルンベルクにちなんで「ニュルンベルクの卵(Nuremberg Eggs)」と呼ばれる時計です。卵のような丸みを帯びたフォルムが、この愛称の由来となりました。

これらの時計はゼンマイ式の駆動機構を採用しており、それまでの塔や教会に設置される大型の機械式時計と比べると、携帯性という点で画期的な発明でした。ただし、当初は針が短針のみで、正確さも現代の基準からすると大きく劣っていました。

富裕層だけが持てた贅沢品

ニュルンベルクの卵をはじめとする初期の懐中時計は、職人の手作業によってひとつひとつ丁寧に作られていたため、非常に高価な品物でした。そのため所有できたのは、王侯貴族や大商人といったごく一部の富裕層に限られていました。

こうして誕生した懐中時計は、その後の技術革新を経て精度と小型化が進み、やがて腕時計へと発展していきます。私たちが日常的に使う時計の歴史は、まさにこの16世紀の小さな「卵」から始まったのです。