アフリカの歴史

古代エジプト人は世界の始まりをどう捉えていたのか?創世神話の謎

原初の水「ヌン」から始まった世界

古代エジプトの神話によれば、天地が生まれる以前、世界は「ヌン」と呼ばれる果てしない原初の水で満たされていました。この混沌とした水こそが、万物の源とされていたのです。

やがてヌンの中から、創造神アトゥムが自ら姿を現しました。アトゥムは男性と女性の両方の性質を併せ持ち、宇宙を構成するあらゆる要素をその一身に内包する絶対的な存在でした。

最初の神々の誕生

アトゥムはまず、大気を司る神シュウと、湿気を司る女神テフヌトを生み出しました。この二柱の神々はさらに子をもうけ、そこから大地の神ゲブと天空の女神ヌトが誕生します。こうして天と地が分かたれ、世界の骨格が形づくられたと伝えられています。

この創世神話はヘリオポリス(太陽の都)を中心に語り継がれたもので、太陽神信仰とも深く結びついていました。

ファラオは秩序を守る存在

エジプト人にとって、現世のファラオ(王)はアトゥムの直系の子孫であり、宇宙の秩序を創り出し、それを維持する特別な力を持つ存在でした。

ファラオの最大の使命は、混沌の勢力を寄せつけず、「マアト」(真理・正義・秩序)を守り抜き、エジプトに繁栄をもたらすことだと考えられていました。この王権神聖化の思想は、古代エジプト社会の宗教的・政治的な根幹を支えるものとなったのです。