アフリカの歴史

なぜ奴隷主は奴隷を自ら捕らえる必要がなかったのか?その実態

奴隷主は奴隷を「捕らえて」いなかった

実は、奴隷主たちは自らの手で奴隷を捕らえる必要はありませんでした。彼らが行っていたのは、奴隷商人から奴隷を購入することだったのです。奴隷商人たちはアフリカで人々を捕らえ、大西洋を越えてアメリカ大陸まで輸送し、そこで奴隷主たちに売り渡していました。

大西洋三角貿易という商業システム

この仕組みは、歴史上有名な「大西洋三角貿易」と呼ばれる巨大な商業ネットワークの一部でした。ヨーロッパの商人たちは武器や工業製品などをアフリカへ運び、捕らえられた人々と交換しました。その後、奴隷たちは過酷な航海——いわゆる「中間航路(ミドル・パッセージ)」——を経て、アメリカ大陸へと運ばれました。

到着した奴隷たちは、競売にかけられ、タバコや綿花などの作物を生産するプランテーションの所有者たちによって購入されました。

奴隷制を支えた連鎖的な経済構造

つまり、奴隷制とは一つの連鎖的な経済構造だったのです。現地での捕獲、輸送、販売という役割はそれぞれ異なる者たちによって担われ、プランテーションを持つ奴隷主は、その末端で人間を「商品」として買い入れる立場にありました。この分業体制こそが、悲劇的な奴隷貿易を数世紀にわたって持続させた要因の一つといえます。