答えは、アフリカのエリート層(首長や支配者階級)そのものです。
奴隷貿易の責任は欧米だけではない
大西洋奴隷貿易について語られるとき、その責任がすべて西欧列強にあると語られがちです。しかし歴史的な事実として、この貿易にはアフリカ側のエリート層の深い関与があり、彼らもまた大きな責任を負っています。
首長と欧州商人による「共犯関係」
アフリカにおける奴隷貿易は、アフリカの首長たちとヨーロッパの商人との間の協力関係(共犯構造)によって成り立っていました。具体的には次のような流れです。
- アフリカのエリート層や戦士集団が、他の部族や共同体の人々を捕らえる奴隷狩り(襲撃)を実行した
- 捕らえられた人々は海岸部の交易拠点まで連行され、そこで欧州の奴隷商人に引き渡された
- 対価として、銃火器・酒・布・装飾品などの贅沢品や権力の源泉となる物資を受け取った
最大の受益者だった現地の首長層
多くの場合、奴隷貿易から最も大きな利益を得ていたのは、現地の首長やエリート層でした。彼らは奴隷と引き換えに入手した銃を使ってさらに勢力を拡大し、ライバルの部族を攻撃して新たな捕虜を確保するという悪循環を生み出しました。こうして奴隷貿易は数百年にわたって続く巨大な経済システムへと発展していったのです。
歴史を正しく理解するために
これは欧州諸国の罪を軽くするものではありません。奴隷貿易という悲劇は、欧州の需要とアフリカ内部の供給が結びついた結果として成立したものです。この複雑な歴史の全体像を認識することこそが、過去を正しく理解し、教訓として受け継ぐための出発点となります。