フィリピン北部のルソン島に位置するコルディリエラ行政地域(CAR)は、山岳地帯に暮らす多様な先住民族の宝庫です。この地域には、それぞれ独自の言語、文化、伝統を持つ数多くの部族が存在し、世界遺産にも登録された棚田など、印象的な文化遺産で知られています。本記事では、コルディリエラ地域の主要な8つの部族について詳しくご紹介します。
1. イフガオ族(Ifugao)
イフガオ族は、2000年以上の歴史を持つバナウエの棚田で世界的に有名な部族です。精巧な木彫りの技術でも知られ、「フドフド(Hudhud)」と呼ばれる叙事詩の詠唱は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
- 主な居住地:イフガオ州
- 特徴:棚田農業、木彫り、フドフド叙事詩
- 下位グループ:キアンガン(Kiangan)、ヒンヨン(Hingyon)、アヤンガン(Ayangan)、トゥワリ(Tuwali)、マヨヤオ(Mayoyao)
2. カンカナイ族(Kankanaey)
カンカナイ族は、ベンゲット州、アブラ州、マウンテン州に広く分布する部族です。農業を中心に、伝統的な織物や金属加工の技術にも長けています。
- 主な居住地:ベンゲット州、アブラ州、マウンテン州
- 特徴:農業、織物、金属加工
- 下位グループ:ブットブット(Butbut)、ガダン(Ga'dang)、アプリ(Appai)
3. ボントック族(Bontoc)
ボントック族は、コルディリエラ地域の中央部に位置するマウンテン州を中心に暮らしています。「アト(Ato)」と呼ばれる伝統的な集会所兼住居や、精巧な木彫り工芸で知られています。
- 主な居住地:マウンテン州中央部
- 特徴:「アト」様式の家屋、木彫り
- 下位グループ:トゥクカン(Tukukan)、サモキ(Samoki)、サガダ(Sagada)
4. イバロイ族(Ibaloi)
イバロイ族は、ベンゲット州を中心に、パンガシナン州の一部にも居住する部族です。農耕のほか、鉱業や狩猟にも熟練しており、伝統的なミイラ葬(火焔ミイラ)でも知られています。
- 主な居住地:ベンゲット州、パンガシナン州一部
- 特徴:農業、鉱業、狩猟
- 下位グループ:カバヤン(Kabayan)、バクン(Bakun)、カヤパ(Kayapa)、ブギアス(Buguias)
5. カリンガ族(Kalinga)
カリンガ族は、稲作と色彩豊かな伝統衣装で有名な部族です。入れ墨の文化も根強く、伝統的な織物は鮮やかな赤色が特徴的です。
- 主な居住地:カリンガ州
- 特徴:稲作、色鮮やかな伝統衣装、タトゥー文化
- 下位グループ:タヌダン(Tanudan)、ルブアガン(Lubuagan)、ピヌップク(Pinukpuk)
6. アパヤオ族(Apayao)
アパヤオ族は、カガヤン州との国境近くにあるアパヤオ州に居住しています。手織りの織物やビーズ細工など、独特の手工芸品で知られています。
- 主な居住地:アパヤオ州
- 特徴:手織り織物、ビーズ細工
- 下位グループ:イスネグ(Isneg)、カリンガ・アパヤオ(Kalinga-Apayao)、マラウェグ(Malaweg)
7. ガダン族(Gaddang)
ガダン族は、ヌエヴァ・ヴィスカヤ州、イサベラ州、カガヤン州にまたがって居住する部族です。精巧な籠編みや陶芸の技術で知られています。
- 主な居住地:ヌエヴァ・ヴィスカヤ州、イサベラ州、カガヤン州
- 特徴:籠編み、陶芸
- 下位グループ:トゥワリ(Tuwali)、ヨガド(Yogad)、イナバクノン(Inabaknon)
8. ティンギアン族(Tinggian)
ティンギアン族(イットネグ族とも呼ばれます)は、アブラ州に主に居住する部族です。農業や狩猟に加え、伝統的な織物の技術にも優れています。
- 主な居住地:アブラ州
- 特徴:農業、狩猟、織物
- 下位グループ:イットネグ(Itneg)、バラトック(Balatok)
まとめ
以上が、コルディリエラ地域の主要な8つの部族です。ここで紹介したのはほんの一部であり、実際にはさらに多くの部族や下位グループが存在します。各部族は独自の言語、文化、伝統を受け継ぎながら、現代においてもそのアイデンティティを守り続けています。棚田や伝統工芸など、彼らの文化遺産はフィリピンの貴重な財産となっています。