太平洋戦争(第二次世界大戦)当時、連合艦隊司令長官を務めた山本五十六元帥に関連する最も有名な言葉の一つが、いわゆる「眠れる巨人」の名言です。英語では次のように伝えられています。
"I fear all we have done is to awaken a sleeping giant and fill him with terrible resolve."
これを日本語に訳すと、おおむね以下のような意味になります。
「私が恐れているのは、我々が成し遂げたことが、眠れる巨人を呼び覚まし、彼に恐るべき決意を抱かせただけだったということだ」
名言が生まれた背景
この言葉は、1941年12月7日(日本時間12月8日)に行われた真珠湾攻撃の直後に語られたとされています。ハワイの真珠湾にあったアメリカ海軍基地への奇襲によって、それまで中立の立場をとっていたアメリカは第二次世界大戦への参戦を決めることになりました。
山本五十六は、かつて駐米武官としてワシントンに赴任していた経験から、アメリカの圧倒的な国力と工業力を誰よりも深く理解していました。そのため日米開戦に対しては当初から慎重な姿勢を示しており、「半年か一年は好きなようにやらせてもらえると思うが、二年三年となると全く自信はない」という言葉も残しています。
そして現実に、アメリカは膨大な資源と工業力を総動員して戦力を急速に拡大し、最終的に日本およびその同盟国を打ち破りました。山本の予見は、皮肉な形で的中したことになります。
出典をめぐる議論
なお、この「眠れる巨人」の言葉については一つの注意点があります。山本五十六本人の文書や公式記録にこの発言の直接の裏付けはなく、1970年の映画『トラ・トラ・トラ!』の台詞が起源であるという説が有力です。しかし、アメリカの潜在的国力を強く警戒していたという山本の本質的な認識を的確に表現していることから、この名言は今日でも広く引用され続けています。