「移民の国」として知られるアメリカ合衆国。その歴史は、実は大きく3つの移民の波に分けて捉えることができます。それぞれの時代背景や出身地域、渡米の動機には特徴があり、今日の多文化社会アメリカの姿を理解するうえで重要な鍵となります。ここでは、3つの波を時系列でわかりやすく解説します。
第1の波:17〜18世紀 ― イギリス系入植者の時代
最初の移民の波は、17世紀から18世紀にかけて起こりました。中心となったのはイギリスからの入植者です。彼らが新大陸へ渡った理由は多岐にわたります。
- 宗教の自由:本国での宗教的迫害を逃れ、信仰を自由に実践できる土地を求めて
- 経済的機会:新しい土地での農業や交易による富の獲得を目指して
- 政治的自由:自らの意志で政治や社会を築ける環境を求めて
こうした人々の積み重ねが、やがてアメリカ独立の基盤となっていきました。
第2の波:19世紀末〜20世紀初頭 ― 南欧・東欧からの大移動
2番目の波は、19世紀後半から20世紀初頭に訪れました。この時期の移民の多くは、南ヨーロッパ(イタリアなど)および東ヨーロッパからやってきた人々です。
彼らの渡米の動機は、先のイギリス系入植者と同様に経済的な機会や自由の追求でしたが、それに加えて貧困や政治的混乱からの脱出という切実な事情を抱えているケースも少なくありませんでした。
しかし一方で、言語や文化、宗教の違いから差別や偏見に直面することも多く、過酷な労働条件や都市部の貧民街での生活など、厳しい現実との闘いでもありました。
第3の波:1960年代〜現在 ― アジア・ラテンアメリカからの移民
3番目の波は1960年代に始まり、現在まで続いています。この時代の移民の主体となっているのは、アジアおよびラテンアメリカ出身の人々です。
渡米の理由も多様化しており、主なものとしては以下が挙げられます。
- 経済的機会:より良い仕事と生活水準の向上を求めて
- 家族の再統合:すでに渡米している家族と暮らすために
- 政治的自由:母国の政情不安や迫害から逃れるために
特に1965年の移民国籍法改正により、出身地域による移民枠の制限が撤廃されたことが、この波を後押ししたと言われています。
まとめ:3つの波がつくった多文化国家・アメリカ
アメリカへの移民の歴史は、①17〜18世紀のイギリス系入植者、②19世紀末〜20世紀初頭の南欧・東欧移民、③1960年代以降のアジア・ラテンアメリカ移民という3つの波によって形作られてきました。時代ごとに渡航の動機や直面した課題は異なりますが、「より良い生活と自由を求める」という根本的な願いは共通しています。この積み重ねこそが、今日の多様性あふれるアメリカ社会の土台となっているのです。