北米の歴史

「ヒッシーフィット」という言葉はどうやって生まれた?気になる語源の2つの説

「ヒッシーフィット(hissy fit)」は、主にアメリカ英語で使われる表現で、激しい怒りや不機嫌、かんしゃく(癇癪)を起こす様子を指す言葉です。このユニークなフレーズがどのように生まれたのかについては、大きく分けて2つの説が存在します。

説1:1920年代のアフリカ系アメリカ人英語(AAVE)由来説

語源学者バリー・ポピック(Barry Popik)によると、このフレーズの最も古い形は「hissy」または「hissy fit」という呼び方で、1920年代のアフリカ系アメリカ人ヴァナキュラー英語(AAVE)に見られたといいます。

当時この言葉は、かんしゃくや感情的な動揺、いら立ちを意味し、特に子どもや女性に関連付けて使われることが多かったとされます。ポピックの説では、「hissy」は感情の爆発や怒りの表出を起こしやすい人物を形容する形容詞として機能し、「hissy fit」はそうした感情的な行動が実際に起こる場面を具体的に指す言葉だったということです。

説2:ヘビの「シュー」という音に由来する説

もう一つの説は、ヘビが威嚇するときに発する「シュー」という音(hiss)に由来するというものです。「ヒッシーフィット」はかんしゃくや怒り、不満の表出を意味することが多いのですが、興味深いことに、ヴィクトリア朝時代のイギリスでは、当時流行していたバッスル(スカートの後ろを膨らませる骨組み)を身につけた女性たちのドレスが擦れる際に発する「シュー」という音を指して、この言葉が使われたこともあったのです。

さらに、この説明は「fit」が「突然の発作」を意味することとも整合的です。てんかんの発作や痙攣のように突発的に起こる状態を表す「fit」という言葉と組み合わさったことで、現在のような「感情が一気に爆発する様子」という意味へと発展したと考えられます。

現代における「ヒッシーフィット」

正確な起源がどちらにあるにせよ、「ヒッシーフィット」は今日では、怒り・いら立ち・かんしゃくといった感情の爆発を描写する言葉として広く定着しています。もともとアメリカ南部を中心に使われていた地域色の強い表現でしたが、現在では映画やテレビ、日常会話の中でもすっかりおなじみの存在となっています。