アメリカ南北戦争の発端はカンザス州なのか?
カンザス州で起きた一連の出来事が、アメリカ南北戦争につながる緊張と対立を大きく助長したことは間違いありません。しかし、「南北戦争はカンザス州で始まった」と表現するのは、必ずしも正確とは言えません。南北戦争が公式に始まったのは1861年4月12日、南軍(アメリカ連合国軍)がサウスカロライナ州のサムター要塞を攻撃したときです。
1850年代のカンザス――奴隷制をめぐる激しい攻防
とはいえ、国内ではすでに何年にもわたって緊張と対立が醸成されており、カンザスはその対立を激化させるうえで極めて重要な役割を果たしました。1850年代、新たに組織されたカンザス準州では、奴隷制をめぐる政治的・社会的闘争が白熱していました。奴隷制賛成派と反対派の入植者たちがこぞってこの地域へ移住し、政治的な均衡に影響を与えようとしたのです。カンザスが自由州として連邦に加わるか、それとも奴隷州となるかが、まさに岐路に立たされていました。
「流血のカンザス」と二つの対立政府
1854年のカンザス・ネブラスカ法により、この準州には奴隷制賛成派と反対派という二つの対立する政府が誕生しました。この対立はやがて「流血のカンザス(Bleeding Kansas)」と呼ばれる暴力的な衝突へと発展します。入植者同士の武力衝突、ゲリラ戦、集落への襲撃などが相次ぎ、地域全体が泥沼の暴力に包まれました。
カンザスでの暴力は全国的な注目を集め、北部と南部の緊張を一段と高めました。奴隷制と州の権利をめぐる議論はますます先鋭化し、カンザス・ネブラスカ法とその帰結は、合衆国内の地域的分裂(セクショナリズム)をさらに深刻化させたのです。
結論:カンザスは「前哨戦」、開戦はサムター要塞
したがって、カンザスで起きた出来事は国家を分裂させ、緊張を高める重大な要因ではあったものの、アメリカ南北戦争が公式に始まったのは1861年4月12日、サウスカロライナ州サムター要塞への攻撃によってです。カンザスはいわば南北戦争の「前哨戦」と位置づけるのが最も適切でしょう。