米国で消費されている天然ガスの大部分は、アパラチア盆地(Appalachian Basin)で生産されています。アパラチア盆地は米国東部に位置する国内最大の天然ガス産出地域であり、ニューヨーク州、ペンシルベニア州、オハイオ州、ウェストバージニア州、メリーランド州の一部にまたがる広大なエリアをカバーしています。
マーセラス・シェール:最重要の天然ガス層
アパラチア盆地の中核をなすのが、「マーセラス・シェール(Marcellus Shale)」と呼ばれる地層です。マーセラス・シェールは、約3億8千万年前のデボン紀に形成された厚い堆積岩の層であり、岩石の隙間に大量の天然ガスを閉じ込めています。この地層はペンシルベニア州を中心に広く分布し、米国のシェールガス革命を牽引してきた存在として知られています。
なぜアパラチア盆地はこれほど生産量が多いのか
かつてマーセラス・シェールのガスは採掘が困難でしたが、水平坑井掘削と水圧破砕(フラッキング)という技術の進歩により、経済的に採取できるようになりました。これにより生産量が急増し、現在ではアパラチア盆地だけで米国全体の天然ガス生産量のおよそ3分の1を占めるまでになっています。
さらに、同じ盆地内には「ユーティカ・シェール(Utica Shale)」と呼ばれる別のガス層も存在し、生産ポテンシャルを一層高めています。豊富な埋蔵量と低い生産コストを背景に、アパラチア盆地は今後も米国のエネルギー供給において重要な役割を果たし続けるでしょう。