南北戦争(アメリカ南北戦争)とは
アメリカ南北戦争は、1861年から1865年にかけてアメリカ合衆国で起こった内戦です。連邦(ユニオン)に忠誠を誓い続けた北部諸州と、連邦から脱退して「アメリカ南部連合」の樹立を目指した南部諸州との間で戦われました。この戦争の最大の発端となったのは、アフリカ系アメリカ人の奴隷制をめぐる長年にわたる対立でした。
エイブラハム・リンカーンが大統領に就任してわずか1か月余り後の1861年4月、南部連合軍がサウスカロライナ州のサムター要塞を攻撃し、南北戦争の幕が開けました。
北部と南部の対立――産業化された戦争の先駆け
北部の連邦支持派には、地理的には西部や南部に位置する一部の州も含まれており、彼らは合衆国憲法への支持を明確に打ち出しました。これに対抗したのが、奴隷制を維持するための「州権」を掲げた南部連合の分離独立派です。
南北戦争は、世界で最初期の「産業化された戦争」の一つとして知られています。蒸気船、鉄道、電信、そして大量生産された武器が大規模に投入され、民間の工場、鉱山、造船所、銀行、輸送網、食料供給体制までもが戦争のために総動員されました。こうした様相は、後の第一次・第二次世界大戦における産業力の重要性を予感させるものでした。
また、南北戦争は今日に至るまでアメリカ史上最も犠牲者の多い戦争です。従来は1861年から1865年の間に約62万人が死亡したと推定されてきましたが、近年の研究では75万人の兵士に加え、数え切れないほどの一般市民が命を落としたとされています。
南北戦争がアメリカに残したもの
南北戦争は、アメリカ合衆国のアイデンティティに計り知れない影響を与えました。連邦軍の勝利によって国家分裂の危機は回避され、400万人のアフリカ系奴隷が自由を手にしました。さらに1865年12月には合衆国憲法修正第13条が成立し、奴隷制は正式に廃止されました。
戦後の1865年から1877年にかけては「レコンストラクション(再建)時代」と呼ばれる時期が続き、南部連合諸州の連邦への復帰、アフリカ系アメリカ人の権利確立、そして南北戦争の遺産の形成が進められました。しかし、アフリカ系アメリカ人への差別など、再建時代に解決されないまま残された課題は、1950年代から1960年代の公民権運動において改めて表面化することとなりました。