北米の歴史

米国の10セント硬貨の裏面の「V」とは?意味と「In God We Trust」の由来を解説

米国の10セント硬貨の裏面にある「V」とは?

アメリカの10セント硬貨(ダイム)を手にしたとき、「裏面に見える『V』は何を意味しているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?ネット上では「あの『V』は『In God We Trust』を表す」といった説明も見かけますが、実はこれは正確な情報ではありません。この記事では、その真相とともに、アメリカの貨幣にまつわる基礎知識をわかりやすく解説します。

「In God We Trust」とは何か?

「In God We Trust(イン・ゴッド・ウィー・トラスト)」は「我ら神を信ず」と訳される、アメリカ合衆国の公式モットー(国家標語)です。
この言葉が硬貨に初めて登場したのは1864年発行の2セント硬貨からで、以降、多くの硬貨や紙幣に刻まれるようになりました。1956年には連邦議会の決議により正式な国家モットーに制定され、1957年からは紙幣にも印刷されています。

ただし、このモットーは通貨に完全な英語表記で刻まれており、頭文字だけを取っても「IGWT」となるため、「V」という一文字で表されることはありません。

硬貨に刻まれた「V」の正体はローマ数字の「5」

アメリカの硬貨に大きく浮かび上がる「V」といえば、最も有名なのは1883年から1913年にかけて発行された5セント硬貨「リバティ・ヘッド・ニッケル(通称:Vニッケル)」です。この硬貨の裏面には、額面の5セントを示すローマ数字の「Ⅴ」が大胆にデザインされています。

一方、現行の10セント硬貨である「ルーズベルト・ダイム」の裏面には「V」は存在せず、中央に松明(たいまつ)、左右に平和を象徴するオリーブの枝と強さ・独立を象徴するオークの枝が描かれています。

10セント硬貨に実際に見える文字・記号

ルーズベルト・ダイムに刻印されているのは、主に次のような文字です。

  • P・D・S・W(ミントマーク):硬貨が鋳造された造幣局を示します。P=フィラデルフィア、D=デンバー、S=サンフランシスコ、W=ウェストポイントです。
  • JS:表面のフランクリン・ルーズベルト大統領の肖像を制作した彫刻家、ジョン・R・シノックのイニシャルです。

まとめ

10セント硬貨の「V」が「In God We Trust」を意味するという説は誤りです。「In God We Trust」は確かにアメリカの公式モットーとして通貨に刻まれていますが、硬貨に印象的に登場する「V」は、旧5セント硬貨に使われたローマ数字の「5」を指すものとして広く知られています。お釣りの中やコレクションで古い硬貨を見つけた際は、ぜひこうした歴史的背景にも注目してみてください。