「南北戦争が始まった当初、アメリカ人は北部を支持していた」という見方がありますが、実はこれは必ずしも正確な表現ではありません。
北部州民の多くは連邦(北軍)を支持
確かに、北部諸州の人口の大多数は連邦政府と合衆国の維持(ユニオン)を支持していました。しかし、それだけでは南北戦争の全体像を語ることにはなりません。
南部にも連邦支持者が、北部にも南部支持者が存在
一方で、南部諸州の中にはアメリカ連合国(南軍)を支持しない人々も一定数存在しました。また、北部に住みながら南部側(南軍)に同情や支持を寄せる個人も少なくありませんでした。例えば、北部の一部の民主党員や、南部出身者との経済的・家族的つながりを持つ人々などがこれに該当します。
単純な「地理」では割り切れない対立
南北戦争は、奴隷制をめぐる問題、州の権限と連邦政府の権限の対立、経済構造の違いなど、複雑な要因が絡み合った紛争でした。そのため、人々の忠誠心は単に住んでいる地域(地理的な南北)だけで決まっていたわけではなく、個人の価値観、利害関係、家族の背景などによって大きく分かれていたのです。
つまり、「開戦時点でアメリカ人が一斉に北部を支持した」というのは誤解であり、実際には国全体が深く分裂し、多様な立場が併存する状態だったと言えます。