『ニューヨーク史』(原題:A History of New York)の作者が誰であるかについて、確定した公式記録はありませんが、一般にオランダ系アメリカ人の作家ワシントン・アーヴィング(Washington Irving)の著作であると広く認識されています。
1809年に出版されたこの風刺的な歴史書は、ニューヨーク市に関する最初の「文学的な歴史書」と呼ばれることが多く、アメリカ文学史上最も初期の重要な作品の一つとして高く評価されています。
ペンネーム「ディードリック・ニッカーボッカー」
興味深いことに、アーヴィングはこの作品を「ディードリック・ニッカーボッカー(Diedrich Knickerbocker)」という架空の人物の名義で発表しました。出版前には、この架空の著者が宿から忽然と姿を消したという新聞広告を掲載するなど、当時としては非常に斬新な宣伝戦略が大きな話題を呼びました。
アメリカ文学史における意義
この作品の成功により、アーヴィングは一躍アメリカを代表する作家となりました。「ニッカーボッカー」という名前はその後、ニューヨークの文化的シンボルとして定着し、NBAのニューヨーク・ニックスの愛称などにも採用されるほど、街に深く根付いています。
ユーモアと風刺に満ちた本作は、単なる歴史書にとどまらず、アメリカ独自の文学の可能性を切り開いた記念碑的な存在といえるでしょう。