16世紀以降、スペインは新大陸(アメリカ大陸)の植民地経営において、膨大な労働力を必要としました。そのためにスペインが採用したのが、先住民を搾取するための「エンコミエンダ制(encomienda)」と呼ばれる労働制度です。
エンコミエンダ制とは何か
エンコミエンダ制とは、スペイン王室が征服者や入植者に対し、特定の地域の先住民から労働や貢納を徴収する権利を与える制度でした。名目上は先住民の保護とキリスト教化が約束されていましたが、実際には過酷な強制労働を課され、多くの先住民が鉱山や農園で命を落としました。
先住民奴隷とアフリカ人奴隷の輸入
さらにスペイン人は、先住民を奴隷として直接取り立てることも行いました。しかし、疫病や過酷な労働によって先住民の人口が激減すると、新たな労働力としてアフリカから奴隷を大量に輸入するようになりました。こうして大西洋を横断する奴隷貿易が拡大していきました。
サトウキビ農園と過酷な熱帯環境
植民地の新しい農業経済の中核となったのは、サトウキビの栽培でした。サトウキビ農園は極めて労働集約的であり、奴隷たちには危険な熱帯気候の下、重い肉体労働が課されました。猛暑の中での長時間労働、刃物を使う収穫作業、製糖のための過酷な工程など、劣悪な環境は奴隷の死亡率を著しく高めました。
まとめ
このようにスペインは、エンコミエンダ制による先住民の搾取、先住民およびアフリカ人奴隷の調達という二つの手段によって植民地の労働力を確保しました。その結果としてもたらされたのは、先住民社会の崩壊と、数百年に及ぶ大西洋奴隷貿易の始まりでした。植民地経済の繁栄の裏側には、あまりにも大きな人的犠牲が存在していたのです。