北米の歴史

ベンジャミン・バナーカーが指摘した矛盾――独立戦争の自由の理念と奴隷制の存続

独立戦争の理念と奴隷制――バナーカーが突きつけた矛盾

1791年、黒人天文学者であり数学者でもあったベンジャミン・バナーカーは、当時国務長官を務めていたトマス・ジェファーソン宛てに一通の手紙を送りました。この手紙の中でバナーカーは、アメリカ独立戦争において掲げられた「自由」と「平等」の理念と、その一方で存続し続けた奴隷制との間に横たわる偽善を、率直かつ鋭く指摘しました。

彼は、革命家たちが掲げた原則と、進行中の束縛という現実との間の矛盾を、直接的な形で結びつけて提示したのです。

「あなた方の父祖の子孫」――共有される起源

バナーカーは手紙の中で次のように訴えています。

「あなた方はこの事実を否定できません。我々はあなた方の父祖の子孫であり、母たちの末裔であるにもかかわらず、最も卑しい状態で専制と束縛の下に置かれているのです。あなた方は我々を法廷の前で獣のように立たせ、憐れみの心もなく大地を見下ろさせるのです」

理念と現実のギャップへの批判

バナーカーは、ジェファーソンのような権力を握る人々とアフリカ系アメリカ人(手紙の中では「アフリカ人種」と表現されています)との間に、人類として共通の起源があることを強調しました。それにもかかわらず、後者が「専制と束縛」の状態に置かれていることを厳しく批判しています。

さらに彼は、革命家たちが語った人権に関する美しい言葉と、当時の司法制度がアフリカ系アメリカ人に対して示した非人間的な扱いとの落差を問題視しました。差別を受けても、制度の中で救済を求める手段はほとんど存在しなかった時代だったのです。

ジェファーソンの主張を揺るがす論理

このように、公言された理想と実際の行動との対比を示すことで、バナーカーは明確な論理を展開しました。すなわち、自由を提唱すると主張しながら、基本的人権を明白に侵害する社会を維持することはできない、というものです。
彼にとって奴隷制の存続は、建国の理念そのものを否定する行為であり、ジェファーソンの自由擁護の主張を根底から疑わせる重大な矛盾だったのです。