アメリカ独立戦争(1775年~1783年)において、イギリスとの戦いで兵力不足を補うために、アメリカの入植者が奴隷を大陸軍へ大量に徴兵するための特定の募集方法を用いた――こうした主張を裏付ける確かな歴史的証拠は存在しません。
結論:組織的な奴隷徴兵の証拠はない
当時の記録や研究をもとに検証しても、入植者側が奴隷を体系的に勧誘・徴兵するための全国的な制度や募集方法を実施したことを示す資料は確認されていません。この点が本題に対する歴史学上の基本的な答えとなります。
当時の実態はどのようなものだったのか
イギリス側が行った奴隷への働きかけ
興味深いことに、奴隷の参戦を積極的に呼びかけたのはむしろイギリス側でした。1775年、バージニア植民地の総督ダンモア卿は「ダンモア宣言」を発布し、反乱側の入植者から離れてイギリス軍に加わった奴隷には自由を与えると約束しました。この呼びかけに応じて、数百人の黒人がイギリス側で戦いました。
大陸軍における黒人兵士の扱い
一方、ジョージ・ワシントン率いる大陸軍は当初、黒人の入隊を認めていませんでした。しかし戦局が長期化し兵員不足が深刻化すると方針は徐々に緩和され、最終的にはおよそ5,000人の黒人兵士が大陸軍に従軍したとされています。ただしその多くは自由身分の黒人であり、奴隷を対象とした組織的な徴兵活動が行われたわけではありません。ロードアイランド州のように、自由と引き換えに奴隷の入隊を認めた例外的な措置を取った州もありましたが、これはあくまで限定的な対応にとどまりました。
まとめ
アメリカ独立戦争期に、入植者がより多くの奴隷を革命軍(大陸軍)に徴兵するために用いた特別な募集方法は存在せず、それを示す歴史的証拠もありません。奴隷の参戦を促したのはイギリス側であり、大陸軍に加わった黒人兵士の多くは自由身分の人々だったというのが、現在の通説的な理解です。