ギリシャ神話において、ティタン神族(巨神族)を支配していたのはクロノス(Kronos)です。彼は第一世代のティタン神族の末弟であり、天空神ウラノスと大地母神ガイアの間に生まれた息子でした。
父・ウラノスを倒して王座に就く
ウラノスは自分の子どもたちを地底のタルタロスに幽閉していました。これに怒ったガイアは鎌を作り、末っ子のクロノスに父を打ち倒すよう命じます。クロノスはこの計画を実行し、父ウラノスから王位を奪い取りました。
わが子を飲み込んだ恐怖の支配者
しかし、権力の座についたクロノス自身も、「いつか自分が子どもに打ち倒されるのではないか」という予言と恐怖に苛まれるようになります。そこで彼は、妻レアとの間に生まれた子どもたち――ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドン――を、生まれたそばから次々と飲み込んでしまったのです。
ゼウスによる終焉と新時代の幕開け
末子ゼウスが生まれたとき、レアは夫を欺き、布に包んだ石を代わりに差し出しました。クロノスはそれを本物と信じて飲み込みます。成長したゼウスはやがて父に立ち向かい、兄弟姉妹を救い出しました。そして10年に及ぶ「ティタノマキア(ティタン神族との大戦)」の末にクロノスを破り、オリュンポスの神々による新たな時代が幕を開けたのです。
クロノスの物語は、権力への執着と恐怖がもたらす悲劇、そして「父を倒す息子」という運命の連鎖を描いた、ギリシャ神話屈指の有名なエピソードといえます。