1492年にクリストファー・コロンブスが大西洋横断航海を行う以前、初期の船乗りたちがこの海域を何と呼んでいたのか。結論から言えば、特定の名称が使われていたことを示す記録や証拠は存在しません。
明確な呼称を裏付ける記録がない理由
中世以前の船乗りの多くは文字文化を持たず、航海の知識は口承や実践の中で受け継がれていました。そのため、海に対して日常的にどんな言葉を使っていたのかを示す文献がほとんど残っていないのです。また、当時の人々にとって「大西洋」は一つの独立した海というよりも、単に「外洋」「彼方の海」といった漠然とした概念だったと考えられます。
文献に残る関連する呼び名
船乗り自身の用語ではないものの、同時代の学者や地図製作者の間ではいくつかの呼称が知られています。
- 「アtlantis Thalassa(アトランティスの海)」 – 古代ギリシャの歴史家ヘロドotosなどが言及した呼び方で、「大西洋」という語の由来となりました。
- 「マーレ・オクシデンターレ(西の海)」 – 中世ヨーロッパで使われたラテン語の呼称です。
- 「マーレ・テネブローサム(暗黒の海)」 – 航海の困難さと未知への恐怖から生まれた、中世の印象的な呼び名です。
- 「バハル・アル・ズルマ(闇の海)」 – アラビアの地理学者たちが用いた表現で、同じく「暗黒の海」を意味します。
まとめ
コロンブス以前の船乗りたちが大西洋を何と呼んでいたのかについて、確定的な答えはありません。ただし、周辺の文明では「西の海」「暗黒の海」など、それぞれの視点に基づく呼び方が存在していました。「大西洋(Atlantic Ocean)」という現在の名称は、神話中のアトランティスや巨人アトラスに由来する古代ギリシャ語の表現が、後の時代に定着したものなのです。