英語は世界70か国以上で公用語として採用され、母語話者に加えて第二言語・外国語として学ぶ人々まで含めると、話者総数は15億人を超えると言われています。しかし、その「英語」は決して均一なものではありません。地域によって発音・語彙・文法・表現が大きく異なり、こうした多様な英語は「国際英語変種(International Varieties of English:略してIVE)」と呼ばれています。
言語研究では、主要な国際英語変種として少なくとも17のバラエティが認められています。ここでは、それらを地域ごとに整理してご紹介します。
ヨーロッパの英語変種
- 1. イギリス英語(英国)
- 2. アイルランド英語
北米・カリブ海の英語変種
- 3. アメリカ英語(米国)
- 4. カナダ英語
- 5. ジャマイカ英語
オセアニアの英語変種
- 6. オーストラリア英語
- 7. ニュージーランド英語
アフリカの英語変種
- 8. 南アフリカ英語
- 9. 西アフリカ英語
アジアの英語変種
- 10. インド英語
- 11. パキスタン英語
- 12. バングラデシュ英語
- 13. スリランカ英語
- 14. フィリピン英語
- 15. マレーシア英語
- 16. シンガポール英語
- 17. 香港英語
それぞれの英語に独自の特徴
これらの英語変種は、それぞれの歴史や文化を色濃く反映しています。例えば、インド英語にはヒンディー語など現地言語由来の語彙が数多く取り入れられ、シンガポール英語(通称シングリッシュ)には中国語やマレー語の影響が見られます。また、オーストラリア英語とニュージーランド英語は、独特の母音の発音でよく知られています。
「内円・外円・拡大円」という有名な分類
言語学者ブラジ・カチュル(Braj Kachru)は、英語圏を「内円(母語として使う地域)」「外円(第二言語として使う地域)」「拡大円(外国語として学ぶ地域)」の3つに分類しました。このモデルによれば、イギリスやアメリカは内円、インドやシンガポールなどは外円に位置づけられます。
グローバル化がさらに進む今後、英語はいっそう多様化していくと考えられています。「正しい英語」はひとつではなく、各地域の文化や文脈に根ざした英語が、それぞれ固有の価値を持つ時代がすでに到来しているのです。