プライバシー修正条項(修正第4条)とは
プライバシー修正条項とは、アメリカ合衆国憲法修正第4条の通称で、政府による不当な捜索・押収から個人のプライバシーを守るために設けられた規定です。1791年に権利章典(Bill of Rights)の一部として批准されて以来、アメリカにおけるプライバシー保護の中核を担ってきました。
条文では次のように定められています。
人民は、その身体、住居、書類および所持品について、不当な捜索・押収を受けない権利を有する。この権利を侵害してはならず、令状は、相当な事由(probable cause)に基づき、宣誓または確約によって裏付けられ、かつ捜索の場所および押収すべき人物または物を具体的に示したものでなければ、発付されない。
修正第4条が保障する主な権利
- 令状原則:政府は、令状なしに個人やその財産を捜索することはできません。
- 相当な事由の要件:令状の発付には「相当な事由」が必要であり、捜索場所と押収対象を具体的に特定しなければなりません。
- 違法収集証拠の排除:違法に入手された証拠は、裁判で使用することができません(違法収集証拠排除法則)。
政府の監視行為への適用
修正第4条は、盗聴(ワイヤータップ)、GPS追跡装置の取り付け、航空機による上空監視など、さまざまな政府の監視手法に対する異議申し立ての根拠として用いられてきました。1967年のカッツ対合衆国事件では、公衆電話ボックス内の会話も憲法上の保護対象であると判示され、以降「合理的なプライバシーの期待」が保護の基準となっています。
プライバシー修正条項への批判
捜査活動への支障を懸念する声
一部の論者は、修正第4条が法執行機関による犯罪捜査や訴追を過度に困難にしていると指摘します。警察官が捜索前に令状を取得しなければならない要件は、捜査の遅れを招き、犯人に証拠隠滅や逃亡の機会を与えてしまうというのです。
監視からの保護としては不十分との指摘
一方で、修正第4条は政府の監視から個人のプライバシーを十分に守れていないという批判もあります。実際、携帯電話会社やインターネットサービスプロバイダ(ISP)が保有するデータの収集のように、令状を必要としない監視手法によって条項を回避できる余地が残されています。いわゆる「サードパーティ・ドクトリン(第三者法理)」では、第三者に開示した情報は憲法上の保護対象外とされてきましたが、2018年のカーペンター対合衆国事件では、位置情報データの広範な収集にも令状が必要であると判示され、デジタル時代に合わせた見直しが進みつつあります。
今後の展望
修正第4条は、批准以来、常に議論の的となってきました。人工知能、顔認識技術、ビッグデータ解析など、新たなテクノロジーがプライバシーと政府の監視権限に関する新たな問題を投げかける中、今後も本条項の解釈や適用範囲をめぐる議論が続くことは間違いありません。