南アメリカの歴史

アメリカ独立戦争中に政府が発行した戦時債券はどうなったのか?償還問題とハミルトンの解決策

独立戦争を支えた大陸会議の債券とは

アメリカ独立戦争(1775年〜1783年)のさなか、大陸会議は戦費を調達するために債券を発行しました。これらの債券は、一般市民や外国政府から新生アメリカへ提供された事実上の借金であり、戦争終結後には利息をつけて返済することが約束されていました。

しかし、独立直後のアメリカの財政状況は極めて不安定で、多くの債券が完全に償還されないまま、あるいはほとんど償還されないまま放置されることになりました。

約束を果たせなかった政府と国民の損失

政府は兵士や市民に対し、その貢献への見返りとして必ず補償すると約束していました。ところが実際には、債券を保有していた多くの兵士や一般の人々は、投資額の全額を受け取ることができませんでした。通貨の価値が暴落し、債券を安値で手放さざるを得なかった人も少なくなかったのです。

1790年、ハミルトンによる州債引き受け

転機となったのは1790年です。初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンが実施した「州債引き受け」政策により、各州が抱えていた戦費由来の債務を連邦政府が引き受け、未払いの債務に対する連邦政府の責任が正式に認められました。

この政策には当時大きな批判がありました。州の債務が連邦政府へ移管されることで連邦の債務負担が増大し、追加的な課税が必要となったためです。それでも最終的には、連邦政府の信用力を確立し、国家財政を安定させるうえで不可欠な措置であると評価されるようになりました。

完済まで数十年、十分な補償を得られなかった人々

こうした流れの中で、アメリカが独立戦争で負った債務を完全に返済するまでには数十年という歳月を要しました。そして、その過程で債券を手放した人々の多くは、投資に対する十分な補償を受けることのできないまま歴史の一ページとなっていったのです。