南米の多くの国々でスペイン語が話されている理由は、15世紀末に始まったスペインによる植民地支配に遡ります。コロンブスの新大陸到達以降、スペインは南米大陸の広範な地域を征服し、約300年にわたって統治しました。
コンキスタドールと言語の伝播
16世紀、コルテスやピサロといったコンキスタドール(征服者)たちは、金や銀を求めて新大陸へ渡り、アステカ帝国やインカ帝国などの先住民国家を次々と征服していきました。彼らは母国であるスペイン語とともに、カトリック信仰やヨーロッパの文化・制度をもたらしました。
植民地時代には、行政、教育、宗教活動がすべてスペイン語で行われたため、言語は支配層から一般の人々へと徐々に浸透していきました。先住民同士のコミュニケーションや交易の場でもスペイン語が共通語として機能するようになり、世代を重ねるごとに話者が拡大していったのです。
独立後も続いたスペイン語の地位
19世紀初頭、シモン・ボリバルらの指導のもと南米各国が相次いで独立を果たしましたが、すでに定着していたスペイン語は各国の公用語として引き継がれました。現在では、アルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビアなど、南米の大多数の国でスペイン語が公用語となっています。
例外となる国々
ただし、南米すべての国がスペイン語圏というわけではありません。
ブラジルはポルトガルの植民地だった歴史を持つため、公用語はポルトガル語です。これは1494年のトルデシリャス条約により、新大陸がスペインとポルトガルの勢力範囲に分割されたことに由来します。
また、スリナムではかつてのオランダ植民地時代の名残でオランダ語が、ガイアナでは英領時代の影響で英語がそれぞれ公用語として使われています。
まとめ
南米でスペイン語が広く話されているのは、スペインによる植民地化と強制的な言語・文化の導入が背景にあります。植民地時代を通じて定着した言語は、独立後も公用語として受け継がれ、今日の南米の言語地図を形作っています。ただしブラジルのポルトガル語やスリナムのオランダ語のように、宗主国の歴史によって異なる言語が根付いた国もある点は覚えておくと良いでしょう。