アメリカ選挙権の歴史:植民地時代から1971年まで
アメリカにおける選挙権は、建国以来、長い歴史の中で大きく変遷してきました。ここでは、植民地時代から1971年までの主な転換点を時系列でご紹介します。
植民地時代初期:白人男性の資産所有者に限定
植民地時代の初期、投票権は「白人男性でかつ資産(不動産)を所有する者」だけに与えられていました。女性、貧しい労働者、黒人、先住民など、人口の大多数は政治への参加すら認められていなかったのです。
1700年代後半:一部の州で自由黒人男性に投票権
1700年代後半になると、北部を中心とした一部の州では、自由身分の黒人男性にも投票権が認められるようになりました。しかし、南部諸州の大半では依然として黒人への投票権付与は実現しませんでした。
南北戦争後:憲法修正第15条とその限界
南北戦争後の1870年に批准された憲法修正第15条は、人種や肌の色を理由に投票権を否定することを禁じ、黒人男性の投票権を法的に保障しました。
しかしその一方で、南部諸州は次のような巧妙な手段を用いて、黒人市民を実質的に選挙から排除し続けました。
- 人头税(ポールタックス):投票のために金銭の支払いを義務づけ、貧しい黒人有権者を締め出した。
- 識字テスト:読み書きの試験を課し、教育の機会を奪われていた黒人を不合格にした。
- 祖父条項(グランドファーザー・クローズ):「祖父の世代が投票権を持っていた者のみ」とする規定により、奴隷出身者の家系である黒人を排除した。
1965年:投票権法による差別慣行の禁止
公民権運動の高まりを受け、1965年に成立した投票権法(Voting Rights Act)は、これらの差別的な慣行を違法としました。この法律の結果、黒人の有権者登録数と投票参加率は劇的に向上しました。
1971年:憲法修正第26条で投票年齢を18歳に引き下げ
ベトナム戦争中、「18歳で徴兵されるのに投票できないのは矛盾している」という議論が広がったことを受け、1971年の憲法修正第26条により、連邦および州の選挙における最低投票年齢が21歳から18歳へと引き下げられました。
このようにアメリカの選挙権の歴史は、多くの人々の闘いと法改正を通じて、段階的に拡張されてきた歴史だと言えます。