南アメリカの歴史

アメリカへ渡るまでに、何人の奴隷が命を落としたのか?

大西洋奴隷貿易:歴史上最も深刻な人道に対する罪の一つ

大西洋奴隷貿易(トランスアトランティック・スレーブトレード)は、歴史上最も残虐な人道に対する罪の一つとされており、数百万ものアフリカ人の命を奪いました。16世紀から19世紀にかけて、推計1,200万人以上のアフリカ人が故郷や家族から引き離され、強制的にアメリカ大陸へと移送されたとされています。

「中航路」で亡くなった人々の数は特定できない

アフリカからアメリカ大陸へ至る航海、いわゆる「中航路(ミドル・パッセージ)」で正確に何人の奴隷が死亡したのかを特定することは、極めて困難です。当時の記録がそもそも存在しなかったり、残されている情報が不完全だったりするためです。

推計には幅がありますが、航海中に10〜20%の奴隷が命を落としたと考えられています。主な死因としては、船倉での劣悪な衛生環境、栄養失調、コレラや赤痢などの感染症の蔓延、そして乗組員による暴力や虐待が挙げられます。

航海以外でも続いた犠牲

さらに見逃せないのは、海上の航海だけが犠牲の場所ではなかったという点です。アフリカ内陸部での捕獲や海岸までの長距離移動、上陸後の「順化(じゅんか)」と呼ばれる慣らしの期間においても、多くの人々が命を落としたとされています。これらを含めると、奴隷貿易全体の犠牲者数はさらに膨らむことになります。

数字が語りきれない深い苦しみ

統計上の推計にとどまらず、奴隷貿易を通じて経験された途方もない人間の苦しみと喪失を認識することが何よりも重要です。自由を奪われ、尊厳を踏みにじられた一人ひとりの人生の重さを忘れず、この歴史から学び続けることが、私たち現代社会に課せられた責務だと言えるでしょう。