セルマからモンゴメリーへの行進――歴史を動かした転換点
公民権運動における最大の転換点の一つとして広く認識されているのが、1965年の「セルマからモンゴメリーへの行進」です。アラバマ州セルマを出発し、州都モンゴメリーまで約87キロを平和的に行進するこの抗議行動は、黒人やヒスパニック系住民をはじめとするマイノリティが投票権を事実上奪われていた実態を、全米に強く訴えかけました。
行進参加者が州当局や暴徒から激しい暴力を受ける様子がテレビで報道されると、世論は一変しました。この圧倒的な世論の後押しを受け、連邦議会は迅速に法案を可決し、リンドン・B・ジョンソン大統領は1965年8月6日、「1965年投票権法(Voting Rights Act of 1965)」に署名して法律として成立させました。
1965年投票権法がもたらしたもの
同法は、人種差別に基づく投票権の剥奪を禁じ、識字テストなどマイノリティの投票を妨げてきた差別的な制度を廃止しました。これにより、アフリカ系アメリカ人だけでなく、ヒスパニック系住民を含む少数派コミュニティが政治に参加する道が大きく開かれました。
ヒスパニック系住民への影響
当初の投票権法は主に南部のアフリカ系アメリカ人の置かれた状況を対象としていましたが、1975年の改正では、ヒスパニック系、アジア系、ネイティブ・アメリカンといった言語的少数者のために、多言語の投票用紙や選挙関連資料の提供が義務付けられました。これにより、ヒスパニック系住民がより平等に選挙へ参加できる環境が整備されていきました。
このように、セルマの行進から生まれた1965年投票権法は、ヒスパニック系住民にとっても公民権運動の重要な転換点となり、今日の彼らの政治的発言力の基盤を築いた出来事なのです。