南アメリカの歴史

アメリカに渡った最初のメキシコ人は誰?「コルテス説」が誤りである理由

「アメリカに移住した最初のメキシコ人は誰か」という問いに対して、スペイン出身の征服者エルナン・コルテスの名前を挙げることがあります。しかし、実はこの主張には大きな誤りがあります。

なぜコルテスは「最初のメキシコ人」と呼べないのか

コルテスは1519年に現在のメキシコにあたる土地へ到達し、アステカ帝国を征服したことで知られる人物です。しかし、メキシコがスペインからの独立を果たしたのは1821年のこと。これはコルテスの時代からおよそ3世紀も後の出来事です。

つまり、コルテスが生きていた頃には、「メキシコ」という国家も、「メキシコ人」という国民の概念もまだ存在していませんでした。彼はあくまでスペイン王国の臣民として新大陸へ渡った人物であり、メキシコ国籍を持ってアメリカへ移住したわけではないため、「最初のメキシコ系移民」と呼ぶことはできないのです。

メキシコからアメリカへの移住が始まったきっかけ

メキシコ出身者とアメリカとの関わりが本格化するのは、19世紀半ば以降のことです。1846年から1848年にかけての米墨戦争の結果、メキシコは国土の約3分の1に相当する広大な領土(現在のカリフォルニア州、テキサス州、ニューメキシコ州などを含む地域)をアメリカへ割譲しました。

これにより、多くのメキシコ人が国境線の変更によって一瞬にしてアメリカの居住者となりました。その後も雇用機会を求める経済的な理由などから、メキシコからアメリカへの移住が継続的に行われるようになっていきます。

まとめ

エルナン・コルテスは世界史において非常に重要な役割を果たした人物ですが、メキシコ独立(1821年)の約300年前に生きたスペイン人であるため、「最初のアメリカへのメキシコ移民」とすることはできません。彼が活動した時代には、そもそも「メキシコ人」というアイデンティティが存在しなかったことが最大の理由です。