ヨーロッパの歴史

ウィリアム・ホガースが描いた「残酷の四段階」―18世紀ロンドンを風刺した連作版画

ウィリアム・ホガース(William Hogarth)は、肖像画、銅版画、書籍の挿絵など、多彩なジャンルを手がけたイギリスの画家です。本記事では、その代表作の一つである風刺版画連作「残酷の四段階(The Four Stages of Cruelty)」をご紹介します。

このシリーズは4点の銅版画で構成され、架空の人物トム・ネロ(Tom Nero)の人生の各段階を追って描かれています。18世紀のロンドンに蔓延していた、日常的でありながら無意味な残虐行為への痛烈な批判作品です。意図的に安価な紙に印刷され、主に下層階級の人々へ向けて広く流通させられました。

第1段階:動物への虐待

少年時代のネロと仲間たちは、「遊び」と称して動物を虐待します。街角で犬や猫をいたぶる子供たちの姿が、当時の社会に横行していた小さな暴力の原点として描かれています。

ウィリアム・ホガースが描いた「残酷の四段階」―18世紀ロンドンを風刺した連作版画

第2段階:馬への暴行

荷馬車の御者として働き始めたネロは、過積載によって倒れてしまった自分の馬を、容赦なく激しく殴りつけます。動物への加虐が、より直接的で凶悪な形へとエスカレートしていく様子が表現されています。

ウィリアム・ホガースが描いた「残酷の四段階」―18世紀ロンドンを風刺した連作版画

第3段階(残酷の極致):強盗と殺人

ついにネロは人間に対する犯罪に手を染め、妊娠中の女性を強盗し、殺害します。

ウィリアム・ホガースが描いた「残酷の四段階」―18世紀ロンドンを風刺した連作版画

第4段階(残酷の報い):処刑と解剖

罪を償うことになったネロは死刑判決を受け、絞首刑に処せられます。さらにその死後、遺体は公開の場で解剖され、犬たちがその内臓を貪るという凄惨な最期が描かれます。

ウィリアム・ホガースが描いた「残酷の四段階」―18世紀ロンドンを風刺した連作版画

ぜひ各版画をクリックして拡大表示してみてください。一見しただけでは見逃してしまう細部の数々を発見できるはずです。実のところ、一枚一枚の版画には、それだけで記事が一本書けてしまうほど多くの巧みな仕掛けが隠されています。

画像出典:Wikipedia

ウィリアム・ホガースが描いた「残酷の四段階」―18世紀ロンドンを風刺した連作版画