1870年は、ヨーロッパの歴史における大きな転換点となった年です。戦争や政治体制の変革、宗教・社会制度の動きなど、この時期に起きた出来事は、その後の欧州の地図と国際秩序を根本から塗り替えました。ここでは、1870年前後にヨーロッパで起こった主要な出来事をわかりやすく解説します。
普仏戦争(1870年7月19日〜1871年5月10日)
1870年の最大の出来事は、フランス第二帝政とプロイセンの間で勃発した普仏戦争です。ナポレオン3世率いるフランス軍はセダンの戦いで決定的な敗北を喫し、皇帝自身が捕虜となるなど、戦争はプロイセン側の圧倒的優位で進みました。
ドイツ統一とドイツ帝国の成立
プロイセンの勝利はドイツ統一への道を開きました。1871年1月18日、ヴェルサイユ宮殿においてプロイセン国王ヴィルヘルム1世がドイツ皇帝として即位し、ドイツ帝国の成立が宣言されます。ビスマルク主導によるこの統一は、中央ヨーロッパに新たな強国を誕生させました。
フランス第二帝政の崩壊と第三共和政の成立
一方、敗戦の衝撃を受けたフランスでは、1870年9月4日に共和政が宣言され、第二帝政が崩壊しました。こうして誕生したのが第三共和政であり、以後約70年間にわたりフランス政治の基盤となります。
イタリア統一の完成 ― ローマ占領(9月20日)
1870年9月20日、イタリア王国軍が教皇領の中心ローマを占領し、イタリア統一運動(リソルジメント)が事実上完了しました。ローマは翌1871年にイタリアの首都となり、現在に続く統一国家の姿が整いました。
カトリック教会 ― 教皇不可謬説の宣言
同年7月18日、第1バチカン公会議において、教皇が「ex cathedra(教座として)」信仰や道徳に関する問題で定義を下す際には不可謬(誤りを含まない)であるとする「教皇不可謬説」が正式に宣言されました。カトリック教会史上きわめて重要な教義上の決定です。
イギリス ― 初等教育法の成立
イギリスでは1870年、グラッドストン政権下で初等教育法(フォースター法)が成立しました。この法律により初等教育のための学校が全国に整備され、すべての子どもが教育を受けられる基盤が築かれました。近代的な公教育制度の出発点として高く評価されています。
スエズ運河の開通と国際経済への影響
地中海と紅海(インド洋方面)を結ぶスエズ運河は1869年11月17日に開通しましたが、その影響が本格的に現れたのは1870年代に入ってからです。ヨーロッパとアジアを結ぶ航路が大幅に短縮され、世界貿易と列強の植民地拡大に大きな転機をもたらしました。
まとめ ― 1870年がヨーロッパに残したもの
1870年前後の出来事は、ヨーロッパの政治地図を一変させました。ドイツ帝国の台頭、フランス第二帝政の崩壊と第三共和政の成立、イタリア統一の完成、さらに教育や宗教分野での重要な転換。これらはいずれも、20世紀のヨーロッパ、ひいては世界の歴史を形づくる土台となったのです。